AI農業のAGRIST株式会社

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国内特許取得のハンド設計の過程【後編】

2022年12月22日 2022年

国内特許取得のハンド設計の過程【後編】

設計・プログラムした通りにしか動かない

「100年先も続く持続可能な農業を実現する」をビジョンに掲げ、農業の課題に取り組んでいる、AGRIST。自動収穫ロボットの開発だけでなくテクノロジーを活用した営農も始めました。

「アグリストってロボットを作っている会社?」「農業の未来をデザインするってどういうこと?」そんなはてなを解消していきながら、アグリストの考えやメンバーの想い、内なる魅力をアグリテックブログにて発信していきます。

普段は表舞台に出ないアグリストを支えるエンジニアメンバーや広報からも、各々の視点からアグリストについてや、ロボットの魅力、技術へのこだわりなど、貴重なお話を伺っていきます。

今回は、エンジニアの高辻さんとのお話です。【後編】

1人から始まったロボット製作

ーハンドだけ製作されているのですか?

私のメイン作業はハンドです。今は、レール部分、筐体アーム部分それぞれに担当がいるので分担できています。私は創業メンバーなのですが、会社が始まった当初は、設計から組み立てまで、全て私1人で作業していました。当時も短いスパンで構想から試作までの作業を1人でしていたので、「最低限これだけ満たして進んでいこう」というように、やる範囲を決めて作業をしていました。

ー1人での作業は、長期間続いていたのでしょうか?

そうですね。だいたい最初の1年くらいはメンバーが少なくて。3人くらいで作業を回していて、私はハード担当でした。学生時代に関わってきたロボコンの先輩や後輩を呼んで、1ヶ月間、私ができないプログラム作業などを手伝ってもらいました。

ー今は人数が増え集中して作業できますね

そうですね。集中できますし、自分の担当範囲について「ここはこうした方がいいよ」など、外からの意見も聞けます。1人で作業するよりも、クオリティが上がるので良いことだと思います。

ー担当でなくても良いアイデアが出てくる。この発想は何故ですか?

どこを製作するかの担当は決まっていますが、全員がロボット全体を見ながら作業を進めており、各エンジニアは農場でロボットがどのように動いているか確認しています。そこで、担当でないからこその良い気付きがあったりします。担当として作業しているとアイデアが凝り固まっていくことがあるのですが、違う視点で「ここを改良すれば良いじゃん」とアドバイスをもらうことで、すぐに解決してしまうこともあります。

設定したとおりにしか動かない

ーソフトとの連携は、具体的にどうされているのでしょうか?

基本的にはロボットを作る前から、理想の動きや要望をプログラマーやソフト担当と話します。細かいプログラムの部分は分からないので、できる範囲を擦り合わせてから作業を進めています。そして、ハードエンジニアとソフトエンジニアで、実際にロボットを動かしてみながら、一緒に意図と違うところや修正点を挙げながら改良していきます。

ーイメージ通りにロボットが動くように、ソフト担当者への伝え方はどういう工夫をされていますか?

伝える際の言葉選びには気を付けています。単語1つにしても、お互いの定義は異なると思っているので、気を付けるようにしています。色々なニュアンスを含ませながら「こう動かしたい」と一言で伝えても、相手には全く伝わらずに異なるロボットが出来上がってしまうこともあります。

ですので、言葉の定義を確認しながら連携を進めるようにしています。ロボットは人が設定した通りに動きますので、ソフトチームとの連携に気を付けることで理想のロボットが出来上がるように意識しています。

ーイメージの共有の仕方は難しそうな印象です。

難しいですね。実際に動かしてみて、「そういう意図じゃない」となってしまうこともあります。口頭説明で十分なものもありますし、ホワイトボードの前で絵を描きながら説明することもあります。

理想の動きへ近づける

ー最初に「3DCADで作っていく」というお話がありましたが、それはパソコンの中で作っていく、ということでしょうか?また、それはソフトは関係なく、形だけの動き方のイメージですか?

そうですね。そんなイメージで合っています。ハードの形を1回作ってみて、実際に農場の中での動きを想定して、それに対して意図通り動いているのか、例えば、アームは正確な位置に動くか。その際に他の部品と干渉したりしないか。それを確認していく流れですね。

ー3Dの中でロボットを動かせるということですか?

そうです、動かせます。パソコンの中で3次元的に見えていて、これを実際に回してみたり、アームを動かしたりしながら見て確認をしていくということです。

ー映像の中で立体化することで、理想の形で動かしている姿を確認できる、ということですね。そして、実際にソフトや機械を作りながら調整して、理想に近づけていくということですね。

そうですね、そんなイメージです。実際に3DCADで設計をしている段階ではソフトを組み込んだ動きは入れられないので、仮にこの動きをした時に問題ないのかを確認していきますね。

ー例えば可動域とか…?

そうです。ロボットは色々なところから力を受けるので、負荷がかかった時に大丈夫なのかも確認していきます。

ー負荷がかかった時のロボットの状況まで分かるのですね。圧力などは、数値が入れられるようになっていて調整できるのでしょうか?

そうです。解析やシミュレーションができるソフトもあります。学生時代からロボットを作ってきた経験やネットの情報を参考にしながら、応力に対するロボットの軸の直径などを考えていきます。

人物

機械設計、加工 高辻 -Takatsuij-

高専でロボコンに出場し、全国優勝した経歴を持つ。

福岡県福岡市出身。幼い頃からものづくりに興味があり、高専入学後はロボコンチームに所属し、2014 年から2018 年までの5 年間ロボット製作に没頭。

AGRIST株式会社

詳しい自動収穫ロボットの詳細:https://agrist.com

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