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国内特許取得のハンド設計の過程【前編】

2022年12月21日 2022年

国内特許取得のハンド設計の過程【前編】

ソフト・ハードウェアのイメージ共有がシンプルさの実現に

「100年先も続く持続可能な農業を実現する」をビジョンに掲げ、農業の課題に取り組んでいる、AGRIST。自動収穫ロボットの開発だけでなくテクノロジーを活用した営農も始めました。

「アグリストってロボットを作っている会社?」「農業の未来をデザインするってどういうこと?」そんなはてなを解消していきながら、アグリストの考えやメンバーの想い、内なる魅力をアグリテックブログにて発信していきます。

普段は表舞台に出ないアグリストを支えるエンジニアメンバーや広報からも、各々の視点からアグリストについてや、ロボットの魅力、技術へのこだわりなど、貴重なお話を伺っていきます。

今回は、エンジニアの高辻さんとのお話です。【前編】

シンプルな形にこだわりをもって

ー専門分野、自己紹介をお願いします

私はメカ設計の仕事をしています。ロボットのハンドや、機械的な部分を作る仕事をしています。具体的には、3DCADを使って、求められるスペックや要件を満たせる設計をし、シミュレーションしています。

その後に自分が選んだ部品を発注したり、加工をして、ようやく組み立てを開始する、という流れです。

ー組み立ての前段階ということでしょうか?

そうですね。組み立ての前段階が多いですが、組み立てもします。組み立てた後の回路基板を搭載する作業は、別の人に依頼をしています。

ー国内特許を取得しているハンドに対するこだわりはありますか?

ハンドのこだわりは、なるべくシンプルに作り上げている所ですね。「2本のベルトを使って、回転させて引き込む」という作りにしているのですが、この仕組みによって1つのモーターで済みます。モーターの数というのは、割とロボットを作る上で重要になるので。いかにモーターを減らせるかが、1つの大きな要素になっています。

バッテリーの短所を生かした開発

ーモーターを減らした方が良い理由は熱が発生するからですか?

熱が発生するという理由もありますが、一番大きな理由は消費電力です。モーターが増えることで当然、使用する電気量が増えます。バッテリーを搭載して動かしてはいますが、バッテリーにはコード式と違い「持続時間が減ってしまう」という課題があるので。なるべく消費電力を最小限に抑えるために、モーターは少ない方が良いと言われています。

加えて、「モーターの数が増えることで制御が複雑になってしまう」という理由もあります。同じものでも、2つのモーターを使用して動かすとなると、モーターの回転数を同じにする必要が出てきてしまいます。この調整にとても時間がかかってしまうので、「なるべく機械で完結できる所は機械でやりきる」というのが理想です。

よりシンプルなつくりに

ー最初のハンドの構想やデザインから改良した部分はありますか?

「二度切り」という性能ですね。もともとロボットを製作する際のアイデアの中に入っていた性能なのですが、なかなか上手くいかなくて。それがこの1年くらいで、大きく進化してきました。

開発当初から「木から実を切り離すためにピーマンの茎を切断後、ロボットがピーマンを掴んだ状態でいられる」という所はクリアできていました。しかしながら、木から実を切り離す為に1度切断したしたあと、その茎を更に短く切る必要があるのですが、その「短く切る」という動作を実現するのが難しかったですね。

収穫の際、木から実を切り離すために1回、果柄の近くで1回切断すること。茎にあたる部分は時間が経つと硬くなるため、1回目の切断だけでは、コンテナや袋に入れた際に他のピーマンを傷つけてしまう。そのため果柄の近くでもう一度切断(2度切り)してピーマン同士が傷つかないようにしている。

2度切り

ー二度切りが難しいというのはどういうことでしょうか?

そうですね、先ほどの「シンプルに作っている」という話にも繋がりますが、ポイントは「全ての動作をワンアクションで行っている点」です。具体的には「ピーマンの茎を掴んで引き込んでいく」というような、一連の流れで全てを行っています。

小さなモーターを増やして「1つのモーターでピーマンを掴んでいる間に、もう1つのモーターで手を動かして切る」というような複雑なことを考えれば色々できるとは思うのですが、これをしてしまうとロボットが複雑になってしまいますし、故障の原因も増えてしまいます。「1度の引き込み動作で完結させる」ここにこだわっています。

ー「楽しい」「面白い」と感じる瞬間はありますか?

そうですね、いくつかのポイントがあります。1つ目のポイントは、メカエンジニアとして、メカを設計して組み上がった時に盛り上がりますね。私自身が「こうしたいな」と思って色々盛り込んだものが実際に出来上がる瞬間は、嬉しいです。そして、実際に回路やプログラムが搭載されて動く瞬間は、2つ目に楽しい瞬間ですね。

もちろん色々試行錯誤したり、悩んだりしながら設計をするのも楽しいですが、やはり、この2つの瞬間はテンションが上がります。

【後編】

タイトル:国内特許取得のハンド設計の過程【後編】

サブタイトル:設計・プログラムした通りにしか動かない

人物紹介

機械設計、加工 高辻 -Takatsuij-

高専でロボコンに出場し、全国優勝した経歴を持つ。

福岡県福岡市出身。幼い頃からものづくりに興味があり、高専入学後はロボコンチームに所属し、2014 年から2018 年までの5 年間ロボット製作に没頭。

AGRIST株式会社

詳しい自動収穫ロボットの詳細:https://agrist.com

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