私たちの食卓を支える農業は、豊かな自然を守る大切な営みです。しかし、家畜のゲップや化学肥料から出るガスが、地球温暖化の一因になっているのをご存じでしょうか。美味しい食べ物をこれからも作り続けるために、私たちはどうすれば環境への負担を減らし、ずっと続く農業を守っていけるのでしょうか。AGRISTは、この大きな課題にAIとロボットで挑んでいます。
脱炭素農業の第一歩:農林水産省が推進する「温室効果ガス(GHG)の見える化」
脱炭素農業を実現するための第一歩として、温室効果ガス(GHG)の「見える化」が注目されています。これは、農林水産省が「みどりの食料システム戦略」として力を入れている取り組みで、「どの作業で、どれくらいのガスが出ているのか」を数字でわかりやすくすることです。最近ではスマホの営農管理アプリを使うことで、自分の農場からどれだけ温室効果ガス(GHG)が出ているか、農家さん自身が手軽にチェックできるようになっています。
「見える化」が進むと、無駄な化学肥料を減らしたり、土を耕す方法を見直したりと、どこを改善すれば一番効果的にガスを減らせるかが見えてきます。これは、単に環境に良いだけでなく、農業経営にも大きなメリットがあります。無駄がなくなればコストも下がり、「環境に優しい農業が、実は一番儲かる」という良い循環が生まれるでしょう。
「みえるらべる★3つ」AGRISTが農場で実現する環境配慮型農産物
この見える化が進んだ先にあるのが、農林水産省が推進する「みえるらべる」です。これは、生産者の方々が環境に配慮して行った「温室効果ガス削減への貢献」や「生物多様性の保全」といった努力を、等級ラベルでわかりやすく表示する仕組みです。私たち消費者は、このラベルを見ることで、環境に優しい農産物を選べるようになります。「みえるらべる」には削減率に応じて星の数が設定されています(-5%以上★1つ、-10%以上★★2つ、-20%以上で★★★3つ)。
AGRISTは、自動収穫ロボットを導入している自社農場(主にピーマン栽培)で、農林水産省が公開しているガイドラインに基づく温室効果ガス簡易算定シートを使って試算してみたところ、なんと初年度から最高の「★3つ」に相当する環境負荷低減効果があることがわかりました(自社調べ)。この結果は、AGRISTのテクノロジーを活用した営農方針が、客観的な基準から見ても高い環境性能を持っていることを示唆するものです。私たちAGRISTは、テクノロジーの力で「みえるらべる」の普及を加速し、環境と収益性を両立する新しい農業経営のスタンダードを築くことに挑戦していきます。
反収28.6%増!AGRIST Aiが変えるスマート農業:AIで環境と収益を両立
温室効果ガスの「見える化」は、農業をよりスマートでデータ主導型に変える、大切な一歩です。ただ温室効果ガス排出量を測るだけでなく、土壌の状態、天気、作物の育ち具合など、あらゆるデータを組み合わせることで、もっと効率的で環境に優しい農業が実現します。
AGRISTがMicrosoftのサポートを受けて開発した農業AI「AGRIST Ai」は、まさにこの「環境と収益を両立するスマート農業」を現場で変えています。AGRIST Aiは、AIがいつ、どれくらいの肥料や水を与え、いつ収穫するのが一番良いかを教えてくれるので、無駄な化学肥料や水の使いすぎを防げます。これにより、農作業の無駄が減るだけでなく、反収あたり28.6%以上の収益増加も期待できます。これまで経験や勘に頼りがちだった農業が、データの力で誰でも高品質な作物を作れるようになり、生産性も大きく向上します。
テクノロジーが描く持続可能な農業の未来:AGRISTが示す次のフェーズ
『環境に良いことをする』という、これまで少し抽象的だった概念が技術の進歩や「みえるらべる」のような具体的な取り組みによって、ぐっと身近なものになりました。
AGRISTは、単に環境負荷を減らすだけでなく、AIとロボットの力を借りて農業生産性そのものを高め、世界の食料課題解決にも貢献することを目指しています。テクノロジーと農業の力が結びつくことで、農業の持続可能性は向上し、温室効果ガス削減という地球規模の課題解決がさらに加速していくでしょう。