AI農業のAGRIST株式会社

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AGRIST創業から3年を振り返る ー2つの苦労とこれからの未来ー

2022年11月09日 インタビュー

AGRIST創業から3年を振り返る ー2つの苦労とこれからの未来ー

齋藤:AGRIST3周年記念の振り返りということで、創業者である共同代表取締役CTOの秦さんにお話を聞きたいと思います。

AGRISTを立ち上げて3年が経ち4年目に突入している今、率直にどんな気分ですか?

秦:今までいろいろな出来事があって、そういうことを振り返ると3年はあっという間だったなと思いました。

齋藤:プレハブ小屋から社員1名で創業して、これからどうなることやらと思ったスタートだったのですが、つい先日には農林水産大臣賞でロボット大賞を取るなど、AGRISTは分かりやすく成長しましたよね。昔を振り返ってみて苦労したことは何ですか?

秦:まずは、創業メンバー+αくらいの社員しかいなかったことです。その人数でロボットを造るなんて、今振り返るとかなり厳しかったなと思います。「何としてでも期日までにロボットを動かさないといけない」という差し迫った状況はハードだったなと。

もう一つは、今AGRISTには20数名が在籍しているのですが、3~4名から一気に人数が増えたので、チーム作りなどの「人」の課題に対する苦労がありました。自分自身もチームとどう向き合うかを試行錯誤して大変だったし、良い経験をしたと思っています。

やはり、一番は「人」の部分で苦労しましたね。

「イメージをマネージする」ことが未来に繋がる

齋藤:では、その「人」の部分はどういう未来に変えていきたいですか?

秦:語弊があるかもしれませんが、これまでは「みんなの想いを一つに!」というような部分を意識しすぎていたなと思っていて。人数も増えてきたので、全員同じ方向を向くのが難しくなってきたなと感じています。

今までは核となる人達やリーダーになる人は経営陣だけだったけれども、マネージャークラスの人達と一緒にAGRISTを創っていきたいです。最終的には、そういう人達も含めてみんなで引っ張っていくチームになるべきなんだろうなと思っています。

齋藤:なるほど。僕の中のリーダーの定義は「見えない世界を見る力を持っている人達」で、一方のマネージャーは、実は「人をマネージする」という意味ではないと思っています。デザイン思考やアート思考の文脈でいうと「イメージをマネージする」というのがあって、それは「ビジョンにも置き換えられる人」という意味も含んでいると思うので、やはりそういう人達が大事だし、組織の中で増えていくことはすごく重要だと思います。

AGRISTは3年間イメージだけで突っ走ってきた感はありますが、そのイメージを良い意味でマネージしていくと見えない世界を見る力をみんなで養っていけるので、その辺りが重要なキーになるのではないかなと思いますね。

悲観的99%・楽観的1%でフルパワーを出す

齋藤:あと、街の未来・日本の未来・世界の未来を背負うのは良いことなんだけれども、背負いすぎないでほしい。悲観的に考えて楽観的に行動することがすごく重要だと思います。

今までのAGRISTは悲観的に考えて悲観的に行動、たまに楽観的だったと思うけれども、抽象と具体の話も含めて悲観と楽観を上手く行き来することが重要なのではないかと思いました。

秦:たしかに、齋藤さんは表面的には楽観的で「行こうぜ!やろうぜ!」という風に見えるけれども、その裏では悲観的にすごく考えている部分がありますよね。齋藤さんが悲観的に考えて楽観的に行動するようになったきっかけは何ですか?

齋藤:「楽観的に行こうぜ!」という部分しか見ていないから楽観的な人に映るかもしれないけれど、9割は悲観的ですからね(笑)。99%悲観的に考えて、最後の1%で「もういいや」って思っているから、それがパワーになっている気がします。

状況を「見える化」してメンバーと壁打ちをする

そう考えるようになったきっかけは、アメリカから帰ってきて起業した時に「起業なんて余裕だろ」みたいな感じに思っていたら全然仕事がなくて(笑)。

お金がどんどんなくなって、アパートの家賃も払えなくなって「まずい!本当に死ぬかもしれない!」という恐怖を味わったんですね。お金って本当になくなるんだっていう経験をして、その怖さを二度と味わいたくないという気持ちが無意識レベルで刷り込まれているので、とても悲観的に考えますね。

ただ、以前はこういう悲観的な部分は見せちゃいけないと思っていたんだけれども、今はもっと見せた方がいい気がしています。

でも、悲観的に悩んでばかりいるリーダーって嫌じゃないですか? 

とはいえ、楽観的ばかりでも嫌ですね(笑)。だから、悲観的に考えて楽観的に行動するということを、両方「見える化」することが大事かもしれないですよね。

秦:たしかに。

齋藤:僕は基本的に、メンバーに「どうしよう?」「どう思います?」と聞いてばかりいますね。

秦:まさにその対話が大事で、リーダーやマネージャーとすり合わせて壁打ちしていくことで、メンバーにも主体性が出てくるんですよね。

AGRIST4年目は「自己開示」がキーワード

齋藤:では、ここからは4年目に向けた意気込みをお願いします。4年目を終えるとき、自分と会社、そして社会がどうなっていたいですか? 

秦:これからのAGRISTは、ロボットの開発を本格化して農場も作っていく。その成果や実績が出てくると思うので、それをみんなで喜び合える瞬間を感じたいなと思います。

今までは状況を感じながら進む余裕がなかったので、4年目を終えたとき「これだけの成果や実績が出て、みんなよくやったよね」と、そういう状況を噛みしめられるといいなと思っています。

齋藤:真面目ですね!(笑)

僕は以前、キュウリ農家の猪俣太一くんに「齋藤さんはメッシだ。だって守備をしないから」「でも、歩いているなと思っていたらゴールを決めて帰ってくる」と言われたことがありました。たしかに、自分自身もそんな感じのイメージがあって「ゴールを決めればいいんだろ」と。でも、僕は周りを見てパスを出せるイニエスタになる!

秦:おぉ〜!

齋藤:でも、そうなると良さが消えるかもしれないですね。悲観も楽観も含めて自己開示して、オープンにしていくことで創造性も発揮するし、より多くの人の共感も生んでくると思うので、そういう「自己開示」は一つのテーマになるのではないかなと思います。

この前、ポケットマルシェ代表の高橋さんと話したのですが、彼もある時期からオープンになったという話をしていました。やはり自分を作ってばかりいると、もたないんですよね。

なので、自己開示をしてオープンマインドでいきましょう!

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