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【深堀りAGRIST_Vol.3】「100年先も続く持続可能な農業」とはなにか。

2022年10月22日 インタビュー

【深堀りAGRIST_Vol.3】「100年先も続く持続可能な農業」とはなにか。

概要と背景

「人とロボットの共存共栄で実現できる持続可能な農業」をテーマに、自動収穫ロボットや再現性の高い栽培データを用いた収益性の高い農業経営を提案している、AGRIST。今回は、同社が見据えるビジョンの実現に向けて、どのような展開を見据えているのかについて齋藤さんにお聞きしました。

──AGRISTのビジョン「100年先も続く持続可能な農業を実現する」というゴールの達成に向けて、どのような事業展開を見据えているのでしょうか?

私たちは「儲かる農業経営」の実現に向けて、新たな農業ロボットを活用した商品パッケージを開発しています。現在、養液栽培を用いた農業を始めており、地面のぬかるみが発生しないことから通路にレールを引いて自動収穫ロボットを稼働させることを考えています。

従来の自動収穫ロボットは、ワイヤー式により重量制限がありましたが、レールであれば収穫用のアームを4本にすることで収穫時間を短くできます。さらに、レールであれば、人や荷物も一緒に移動できるようになるかもしれません。

養液栽培という特性上、場所を選ばずに農業を始めることができるようになります。ピーマンの産地である宮崎で農業をしてしまうと輸送コストに負けてしまうため、生産地ではなく消費地での実用化を考えています。

さらに、自動収穫ロボットのデータを活用しながら、次なる事業の展開を模索していきたいです。

──現在展開されている自動収穫ロボットとは別に、新たなロボットを用いた商品パッケージを展開される予定なのですね。

やはり現在のロボットでは、ピーマン1個あたりの収穫に対するコストが未だに大きいと捉えています。自動収穫ロボットのスペックをさらに上げるためには、レールの導入が欠かせません。また、消費地での生産を可能にすることで輸送コストが削減でき、儲かる農業経営というイメージが伝わりやすくなると考えています。

──確かに、東京や大阪などの消費地で農作物を育てて販売した方が、利益を生み出しやすくなりますね。新たな自動収穫ロボットの開発にあたって、課題はあるのでしょうか。

組織体制が十分に整っておらず、いまは開発に向けた準備段階にあります。既存の自動収穫ロボットを開発することはもちろんですが、よりお客様の農業経営をサポートするために、エンジニアが協力して新たな自動収穫ロボットの開発に取り組んでいきたいと考えています。

──なるほど。先ほど、養液栽培にも取り組んでいるとおっしゃっていました。ピーマンのみならず、きゅうりやトマトなどあらゆる野菜の栽培も可能になるのでしょうか。

そうですね。恐らく最初は、養液栽培を消費地に普及させることに注力するでしょう。ただし、きゅうりやトマトはすでに養液栽培を取り入れている農家さんも多く、それだけでの展開は難しいと思います。だからこそ、自動収穫ロボットによる収穫率の向上を図ることで付加価値をつける予定です。どんどん市場を拡大し、あらゆる農作物の収穫を自動化できればと考えています。

──自動収穫ロボットで集まったデータを活用して、次の事業も展開していきたいと語っていました。今後はどのような課題を解決していくのでしょうか。

引き続き、農作物を収穫する際の人手不足を解決していきたいと考えています。やはり、自動収穫ロボットに必要なのは、農業の環境を整えることよりも、いかに効率的に収穫量を増やしていくかということだと思います。1日の収穫量を予測し、人間の仕事を半自動化できるようになれば、ピーマンのみならず、様々な野菜の収穫に取り組めるロボットを開発していきたいと考えています。

──ピーマンの収穫に伴って、必然的にデータが蓄積されると思います。どんどん性能を上げていくことも可能だと思いますが、なぜあえて他の野菜を収穫するロボットの開発に取り組むのでしょうか?

正直、膨大なデータが集まるまでには時間を要します。そのため、データを活用してより精度の高い自動収穫ロボットを作ろうとしても、10年くらい先になるかもしれない。それよりは、ある程度の収穫量が見込める自動収穫ロボットを次々と開発し、人間の仕事を半自動化していくほうが良いのではないかと考えています。

──そうなんですね。とはいえ、自動収穫ロボットがどんどんデータを収集していけば、収穫量も上がるのではないでしょうか。

ある程度の収穫量は伸びるとはいえ、限界があると感じています。収穫量を考える際には、1株当たりの取れる割合が大事になります。現在のロボットは、ピーマン1株の高さに対して収穫できるのは約50%。しかも、奥行きは全体の半分までで、見えているピーマンのみロボットが認識できます。そこから実際に収穫できる量は約6.7%です。そこに対して、データを活用していくことで、今後の収穫量を劇的に上げていくことができると考えています。

ただし、現状よりも認識できるピーマンが増えたとしても、それ以上に収穫量を増やすとなると、品種改良から考えなくてはなりません。だからこそ、他の野菜を収穫できるロボットの開発をすすめる必要があると感じています。

──確かに。新たな自動収穫ロボットの開発をいかに進めるか、そしてデータをどのように活用していくかが今後のAGRISTの動向を担いそうですね。

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