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太田さんなぜ、アグリストの社外取締役になってくれたんですか?

2022年09月29日 インタビュー

太田さんなぜ、アグリストの社外取締役になってくれたんですか?

一番の理由はビジョンへの共感


齋藤:太田さんとの出会いは10年以上前の社会起業家育成塾(ISL)がきっかけで当時は、講師と受講生という関係でした。

僕が太田さんに取締役の依頼をした理由は、アグリストの事業を自分達の想像を遥かに超えるくらい大きく成長させたいと思ったことがきっかけでした。

取締役就任への依頼の話があった時は、どんな感想でしたか?

太田:まずは嬉しかったですよ。その後は「なぜ自分がそれをやるのか」ということを真面目に考えた結果、承諾しようと思いました。

一番の理由は、齋藤さんが2017年からのまちづくりの活動で当初からいっていた『世界一チャレンジしやすい街』というビジョンへの共感です。

世界一チャレンジしやすいまちを目指す宮崎とアグリテック
https://kozatori7.hatenablog.com/entry/2017/09/06/120423

日本の今の社会は「チャレンジしたってどうせ…」のような空気が蔓延していると思うんです。そして、割と賢い人は「構造的にこういう問題があって、云々かんぬん…」のようなことを言っていることが多い。

だからチャレンジした人は失うものが大きすぎるというか、「ほれ見ろ」となったり、出る杭は打たれたりする。

ネガティブなことばかりが見えている中でチャレンジすること自体が欠けているし、そこが大事なことだと思うので、そういうことに何かの形で関わることはありがたいなということが一番メインですね。

齋藤:まさに私もチャレンジの総量をあげてローカルからスタートアップが増えることを願っていました。

農業改革へのモチベーション

太田:後は、自分のモチベーションとして農業の改革への好奇心が強かったです。

例えば、「チャレンジをする」項目が10個あったとして、その中で自分が面白いと思うものの一つが農業だと思ったので、そこで決めました。

齋藤:僕が今お話をしていて思い出したことは、太田さんが初めて新富町に来たときにブログを書いてくださったことです。

僕と岡本が「ここにサッカー場ができてアグリテックの研究所ができるんですよ!」と言っていたら、太田さんは「あれは妄想でSFだと思った」と書いてありました。

でもそれが現実になってきているという部分ですごく面白い思い出です。

太田:そんなことにチャレンジしているのは貴重だと思ったので、それが大きいですね。

細かいことよりも『本質』が大事


齋藤:実際にその中からアグリストの役員として毎月の役員会議等に出ていただいて、全体のバランスをみながら都度必要な意見をいただいているのですが、実際に入ってみて、入る前とのギャップはありましたか?

太田:自分の状況でお話をすると、上場前の会社に社外取締役として2社関わっています。

それらの会社と共通していいなと思ったことは、投資家と一緒に取締役会をやっていることです。オープンでいいなと思いました。

投資家には良いところだけを見せたいというのはあると思いますが、「普段はそんなに見てもらわなくてもいい」ということではなくて、ある種のフルオープンですよね。

アグリストの会議の中身の話については、僕はバックグラウンドがコンサルなので色々と思うことはあるけれども、あまりそれについては言い過ぎないようにと考えています。

そういうことよりも、本質的にはチャレンジをすることが大事だし、そうしないと見えてこないことがたくさんあるからです。

課題は農業が『自然』を相手にしていること

齋藤:アグリストの事業の課題についてはどうお考えですか

太田:課題としてはピーマンを年に何回も作れないし、そこはやはり工業製品ではないという要素がありますよね。

スピードについてはある種、自然を相手にしている要素があるので、それを特に金融機関や投資家がどこまで理解してくれるのかというところはあると思います。

やはり投資家は5年とか、イグジットまでのタイムフレームを切っているじゃないですか。その多くは、自然のような制約条件がない事業がほとんどなんですね。なので、それを投資家に理解してもらうことが大事と思います。

齋藤さんはビジョンを元に引っ張っていく経営者

齋藤:これは皆さんに聞いているのですが、太田さんは特に長く見ていただいていて、『経営者齋藤潤一』がどう映っているのかを聞いてみたいなと思います。

太田:そういう意味で言うと、ビジョンを元に引っ張っていくことについてすごく秀でているものがあるのだと思います。

リクルートの地域研究の合宿では、起業家として、人に任せることで開く可能性があることを感じてさらに成長できたと思います。

齋藤:アグリストは1ヘクタールで1億円の売り上げが上がるモデルを作ってそれを全国展開していって、種から物流まで全てバリューチェーンをデータで管理できるようになりたいと思います。

そして、それを世界に持って行けば膨大なデータが集まるので、世界で一番ピーマンのデータを持っている会社になリます。それを元に世界の食糧問題の解決もやりたいし、もっと言うと宇宙食、宇宙農業もやりたいと思います。

太田:アグリストに対してものすごく現実的な視点から考えると、まずは緻密な年間の事業計画が必要で、それに加えて、ジャンプするやり方をどう設定するのかという戦略が大事だと思います。どこで跳ねるのか?それについても、具体的な計画を持つことが大事です。

イーロンマスクから学ぶ。ビジョンを実現する方法

例えば、イーロン・マスクの事業の成功要因として、共通点があると言われているんですね。

月に行くという話や、地中を車が走るという話など色んな事業について、とんでもない目標をまずは立てる。イーロン・マスクが特に優れていることは、その手前に「チャレンジングだけど、ありえそうだな」と思える中間目標を立てる能力がすごく高いことです。

それでも乗れない投資家はいるけれども、中間目標があることで「それだったらそこまでのお金は出してもいいんじゃないか」となりますよね。

火星までのお金は出せないが、その手前のロケットをどうやって飛ばすかというところ。火星に有人で行くことに比べるともう少し現実的で、かつそれが実は火星に繋がっていると。布石、中間点の置き方が上手いんですよね。

メディア的に出てくるのは火星という話なのだけれども、イーロン・マスクの特徴は技術者である彼が『現実的だけれども、とんでもない目標に繋がりうる中間目標を置く力』がすごく高いことです。

その話にお金や、あるいは自分の才能を活かしたい人が集まる。

そうだとすると、例えばアグリストの「データドリブンで食糧危機やCO2の話など色々なことに繋がる農業」という壮大なビジョンに対して、かなりアグレッシブなんだけれども実現可能で最終的なビジョンに繋がる点=中間目標をどう置けるかということだと思います。

齋藤:ありがとうございます。世界一チャレンジしやすい街という根っこのビジョンを忘れずに、世界の食糧問題の解決に邁進していきたいと思います。またその中間視点で点を打ちながら解像度を高めていきたいと思います。

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