農業に限らず、あらゆる産業で人手不足が叫ばれています。特に日本は人口減少が加速化していることもあり人手不足は深刻です。企業ではルーチンワークを行う人員の確保が難しく、定型的作業によって通常業務の負担が増し、労働環境の悪化が進んでいます。
労働環境を改善するために定型的な作業を自動化してくれるのがRPAです。現在ビジネスの世界はRPAによってどのように変化しているのでしょうか?ロボットによる自動化をRPAから理解しましょう。
ロボットによる自動化が農業の世界にどのような未来を作ろうとしているのか、必要とされる技術や、農業課題解決のためにロボットの自動化がどう役立つのか解説します。
ロボットによる自動化「RPA」とは
RPAは正式名称をRobotic Process Automation(ロボティク・プロセス・オートメーション)と言います。ロボットと言ってもヒト型のものではなくPCで利用するソフトウェアのこと。
発注書のデータやアンケートの集計データの入力などのオフィスで行う定型的な作業をロボット(ソフトウェア)に代行させる仕組みです。
このRPAの特長について確認しましょう。
定型化されている業務に最適
決まったデータの入力や、明確に手順が定められている業務を手順どおり実行するRPA。ヒトが行うと単純で飽きてしまうような大量の繰り返し業務が得意です。
アンケートの集計のように、何百も何千もあるようなレコードを内容によって振り分け、決められたルールに応じてデータを抽出するなど、定型的な作業に向いています。
また、RPAはプログラミングの必要がありません。ステップやチャートを使い、簡単に作成と修正が行えます。例えば帳票の入力業務でも、新しい帳票に変わったので変更したい場合や、項目を追加したい場合などにも、簡単かつ柔軟に対応させることができます。
ツール間を行き来する対応が可能
RPAの使い勝手を高めているポイントは、ツール(アプリなどのソフトウェア)を行き来するような使い方にも対応していることです。
例えば、営業日報の集計といった、SFAとExcelなどのツール間をまたいで単調なコピー&ペーストを繰り返すような作業はRPAに任せ、まとめとなる「営業進捗のコメント」だけを管理者が行うことで、大幅な時間や労働力のコストを削減できます。
24時間365日稼働できる
RPAとヒトとの違いは24時間365日稼働できる点です。毎日決まった時間に稼働させることもできるので、営業日報の集計もスタッフに営業日報をSFAに記入してもらい、夜間にRPAがデータ連携と集計からグラフ作成までを実行。マネージャーは翌日出社したときにコメントを入力するだけといった作業の省力化が可能です。
また、ロボットによる自動実行ですから、コピー&ペーストミスのような人為的トラブルも皆無で、品質の向上も期待できます。
RPAで期待できる日本特有の課題解決
現在、RPAは大手企業では51%、中小企業を含めても38%の企業が導入しており、年々増加しています。
ロボットによる自動化の普及が進んでいる背景には3つの理由があり、日本特有の課題を解決するためにRPAが不可欠な存在になっていることも証明しています。
出典:年商50億円以上の国内1,021企業のRPA調査動向『RPA国内利用動向調査2020(株式会社MM総研)』
少子高齢化による人材不足を緩和させる
日本は人口減少が進み、なおかつ少子高齢化が止まらない状況が続いています。人手不足という課題解決で頼りになるのがRPAを使ったロボットによる自動化。単純作業をRPAのロボットによる自動化に置き換えることで、人手不足の改善が期待できます。
自動・効率化で働き改革を実現
定型的で反復作業のような業務をロボットに自動実行させることで残業時間を減らすことが可能になります。またヒトでなければ進められない、よりクリエイティブな業務に集中することができるようになり、仕事の質が向上します。
優秀な人材のさらなる有効活用を可能にする
ロボットによる自動化を事業に導入することは人材確保の観点でも有効です。RPA導入は無機質な反復業務の低減につながり、創造性の高い業務がメインとなります。この点は採用広報上の強いアピールポイントとなり、優秀な人材の採用も行いやすくなります。
これによってグローバルな時代における競争力を手に入れることが可能となり、人材をより有効的に活用できるでしょう。
ここまでは、オフィスワークにおけるロボット自動化について解説してきましたが、一次産業である「農業」でもロボット自動化の動きが始まっています。ここからは農業におけるロボット自動化について紹介します。
農業のロボット自動化「スマート農業」で高品質生産を実現
現在の農業には高齢化による労働力不足という課題があり、若い世代への技術継承が進まず、効率的な農作業ができないことによって食糧自給率の低下を招いています。
これらの課題を解決し、高品質な農作物を安定して供給するために、政府などが進めているのが「スマート農業」です。
深刻な農業の課題にロボットによる自動化がどのように役立っているのか、どのように高品質な生産を可能にしているのか確認しましょう。
高齢化著しく課題が生まれる農業
日本の農業は高齢化が進み、慢性的な労働力不足が続いています。長い年月をかけて引き継がれてきた農業技術も若者の農業離れによる後継者不足のため継承が進みません。
さらに労働力不足と技術が継承されないことが相まって農作業の効率化が進まず、食料自給率も低下しています。このため食料を輸入に頼らざるを得ない状況が一層進んでいくと予想されています。
このように農業には人材不足によって生み出される課題が山積しています。
進んでいる農業の自動化
高齢化による農業人口の減少、技術が継承されない問題、ひいては食料自給率の低下を招いている農業課題を解決する糸口となるのが、ロボットによる自動化です。
いわゆる収穫ロボットと言われる機械や、農薬散布用のドローンなどによる農作業の自動化で作業効率が高まっています。
農作業以外にも農薬や肥料などを現場から手書きで発注し、RPAが処理するような事例も始まっており、農作業のさらなる自動化が加速すると考えられています。
AGRISTによるロボット自動化の取り組み
AGRIST株式会社はAIを活用した自動収穫ロボットを農家と一緒に開発しています。ロボットによる自動化を進めたくても、操作が複雑で導入価格も高ければ普及しません。
AGRISTは、農家が本当に困っていることを取り入れ、収穫の自動化を実現できるシンプル操作の安価なロボットの開発に注力しています。
ロボットから収集した画像をAIが解析しビッグデータ化して、収穫できる農作物の判別などの自動化を実現しています。
ロボットの自動化を可能にする技術が農業の未来を変える
さまざまな産業でロボットの導入が進んでおり、農業の世界にも収穫ロボットやドローンを使った自動化の波が押し寄せてきています。
農業におけるロボットの自動化は、他の産業同様に人手不足という課題を解決し、新しい未来を作ってくれる存在となっています。しかし、まだまだロボットによる自動化を進めるためには技術者が少ないのが実情です。
皆さんが持っている英知で人々の生活を根底から支える農業の未来を作ってみませんか?