ロボットを動かす上で、重要かつ必要不可欠な部品も、技術の進化やニーズの変化などを受けて、高度な技術開発を求められています。
この記事では、ロボットを動かす部品やロボットの型式、最新事情をご紹介します。
ロボットを動かすにはどんな部品が必要?
ロボットに搭載される部品には光学部品などがある
ロボットで用いられる部品には、光学部品のほか、モータのように機械的な動作をする装置のアクチュエータ、サーボモーター、センサー、モジュール、デバイス(音声認識、タッチ操作)、受動・接続部品などがあります。
ロボット部品の開発、製作会社は、技術開発を加速させると同時に、ロボットの高性能化、安全性の向上などのために、しのぎを削っています。
高精度で信頼性の高い制御技術が要求されるロボット回路部品
ロボット制作において、IoT技術やAI技術の進展につれ、モノづくり分野などでの要求は変化し、高度な制御技術が求められています。
ロボットの部品開発も同様に、制御回路基板に使われるコンデンサや抵抗器、インダクタなどの受動部品などで、高度な技術を必要とされています。
適切に制御回路を組み込むために、ロボット回路基板の小型化が求められています。また、高密度の実装実現のために、受動部品の小型化、高性能化、モジュール化が進んでいます。
コネクタの開発にも力が注がれている接続部品
ロボットの接続部品は、製造業でのロボットのニーズに対応するため、丸型の防水コネクタの新規開発などが進んでいます。防水コネクタはすぐれた防水性に加え、振動や衝撃、長期の使用に耐えられることが求められています。
産業用ロボット向けに、自動実装に対応可能なコネクタや基板対基板用のフローティングコネクタなどの開発が進められています。
一方、ロボットの組み立てで必要とする接続部品としては、ロボットのfpc挿入工程時に使用するfpc接続用コネクタが開発されています。
4種類の代表的な産業用ロボット
垂直多関節ロボット
垂直多関節型ロボットは、ロボットアームとも呼ばれ、人間の腕の構造に近い形をしたロボットで、どのような動きもできることが特徴です。産業用ロボットの中で、もっとも普及している型式です。
自由に動くことができ、回り込むなどの高度な作業も可能ですが、高速で動かすと振動が発生しやすいため、やや複雑な制御を必要とします。自動車溶接や塗装、組み立て、搬送など、さまざまな用途で稼動しています。
水平多関節ロボット(スカラロボット)
水平多関節型(スカラ型)ロボットは、アームの先端が水平方向への動きのみ行うのが特徴のロボットです。
関節の回転軸が全て垂直に揃い、高速移動して位置を決め、先端部を上下に動作します。平面の作業に向いていて、ウエハ搬送、基板組み立てなど幅広く利用されています。
パラレルリンクロボット
パラレルリンクロボットは、並行(パラレル)に配置されたロボットのことです。
可動域は狭いですが、それぞれの関節が先端を直接制御するため、とても速く動かせるという特徴があります。
多くは、先端部を3本のアームで制御する方式です。ベルトコンベアで流れる食品を整列したり、選定したりするなどで利用されています。
直交ロボット
直交ロボットは、「直角座標型ロボット」とも呼ばれ、制御がシンプルなのが特徴です。
縦、横、高さの直交する3方向のスライドたけ稼動します。ゲームセンターのクレーンゲームのように回転することができません。
シンプルな動きゆえに、精度が高く、容易に制御ができるという特徴があります。また、一般的に低価格です。作業範囲に対し、設置面積が大きくなりますので、主に重量物の組み立てや搬送などで用いられています。
AI搭載の自動収穫ロボットを労働力確保の切り札に
農業就業人口は引き続き減少、進む高齢化
「農業就業人口」は、2011年には260万人となり、前年に比べ5千人減少しました。また、65歳以上の割合が6割、75歳以上の割合が3割を占めるなど、引き続き高齢化が進んでいます。
人手不足を解消して、日本の農業を守る
農業分野でもサービス分野、介護・医療分野同様、ロボット開発、導入が期待されています。なぜ、農業分野へのロボット導入が期待されているのでしょうか?
農業従事者は、高齢化が著しく進んでいて、かつ若い世代の新規就農か少ない分野です。このままでは、深刻な労働力不足におちいることは避けられません。
製造業などに導入されてきた大型で高価、かつ熟達した技術者による操作が必須の産業用ロボットを応用し、介護で使用する小型、低価格で簡単に操作可能な「協働ロボット」の開発が進んでいます。
農業分野のロボットは、産業用ロボットと協働ロボットを、農家のニーズに合わせて開発するものです。
さらに、日本の農作物は海外の需要が高まっています。国内の人口減少に伴い国内消費は減少が予想されるものの、世界人口は増え続けるでしょう。国内から世界へ需要シフトすることが、日本の農業成長のひとつのポイントとなります。
農業従事者の減少、高齢化を補い、増加する海外の需要に対応するために、ロボットの開発、普及が期待されています。
AGRISTの取組み、テクノロジーで農業課題を解決する
農作物の自動収穫ロボットを開発、導入している企業の中でも、ユニークな取り組みとして注目されているのが、ベンチャー企業の「AGRIST(アグリスト)株式会社(以降「AGRIST社」)」です。
AGRIST社は、「100年先も続く持続可能な農業を実現する」をビジョンに掲げています。食料課題を解決し、全人類の幸福(ウェルビーイング)に貢献することを目指すベンチャー企業です。
会社はピーマン栽培の盛んな宮崎県新富町にあります。テクノロジーで農業課題を解決するために、農家と連携し、日々生の声を聞き、農場などで研究、開発を重ねています。
AGRIST社は、安価でシンプルなロボット開発をコンセプトにしています。新しい機能を追加するよりは、むしろシンプルにして、性能を高めることが、ヒアリングを通じて多くの農家の要望として根強くあったためです。
2020年、aiを活用した農産物の自動収穫ロボットを開発、国が主催するスマート農業実証実験のコンソーシアムメンバーとして参画しました。また、ENEOSホールディングスと農産物の自動収穫ロボット開発に関して協業を開始し、他にも数々の賞を受けました。
最新のロボット技術と農家の要望双方を重視した共同開発は、人手不足を解消し、人件費を圧縮、環境制御の向上による収穫量増加が期待されています。
AGRIST社では、テクノロジーで農業問題を解決するロボットエンジニアを募集しています。
ロボットエンジニアとして、開発するのが好き、農業課題を解決したい、地方から世界に挑むベンチャーで経験を積みたい人は、募集内容を見て、応募してみてはいかがでしょうか。
ロボットの部品は、時代とともにますます進化を遂げる
日本のロボット技術は、主に産業用ロボットとして製造業などに開発、導入され、発展を遂げてきました。近年、ロボット技術は日本独特の事情のため、大きく変化しています。
この記事では、ロボット技術活用の現状、ビジョンを、開発経験のある現役のエンジニアにとって、今後のキャリアの参考になれば幸いです。