農業システムとは? 農作業を可視化して生産性を向上させるための技術も紹介

スマート農業

農業はヒトがもっとも古くに手にした産業といわれています。最古の農業とされる2万年前から「植物のタネを植えて育てて収穫する」という根幹の農業システムは変わっておらず、農業従事者が代々受け継ぐ経験や勘で得たスキルやノウハウに支えられてきました。
しかし、農業は恒常的な人材不足・高齢化・農産物の自給率の低下などの大きな課題があり、経験や勘だけに頼らないスキルやノウハウ、農作業の効率化や情報の可視化が求められてきています。従来の農業システムに農業向けAI、ロボット技術、画像認識処理、リモートセンシングなどのスマート農業といわれるテクノロジーをプラスすることで、どのように課題解決できるのか確認しましょう。

農業を可視化するシステムとは

スマート農業を実現するテクノロジーを導入することで農業の可視化が可能になります。これによって農作業の省力化・労力軽減・スマートな農業技術の継承などへと発展する、新しい農業システムが生まれます。

ヒトの手が必要な農業の実情

農林水産省が積極的にスマート農業を導入しなければならないと考えている背景として、以下の課題が挙げられています。

  • 機械化が難しく手作業に頼らざるを得ない危険な作業やきつい作業
  • 農作物の加工・選別など多くの雇用労働力に頼る作業
  • 農業者の減少する中、一人当たりの作業面積は拡大
  • トラクターの操作など熟練者でなければできない作業が多く、若者や女性が参入困難

出典:農林水産省「スマート農業の展開について」農業分野における課題2 4ページ

農業にはこのような現状の課題があり、ヒトの手が必要な農作業が多いことが要因となっています。

農作業の省力化

農作業は、一つの品種を育てるためであっても多くの作業が必要とされます。その一部をヒトに変わってロボットが行えれば、人員確保の問題で拡張できなかった圃場の規模を拡大でき、収益を増やすことも可能になります。省力化は事業収益の改善だけではなく、農産物の自給率低下に歯止めをかける意味合いでも重要な効果をもたらします。

農作業の労力軽減

農林水産省の発表によると、ロボットトラクターや農薬散布用ドローンを用いることによる労力削減効果は、大規模の水田作で13%、中山間の水田作で12%、キャベツで20%、すいかで41%、ピーマンで7%などとなっています(出典:農林水産省「スマート農業の展開について」令和元年度の実証成果の中間報告)。
また労働環境改善の例を挙げれば、例えば宮崎県におけるピーマンは10月から翌年の6月まで、ほぼ一年間栽培し、流通させています。そのため、ほぼ毎日収穫をする必要がありますが、ビニールハウスでの栽培は、暑い時期に40℃を超える屋内での過酷な労働環境です。この一部に収穫ロボットを導入することで、ヒトによる収穫の労力軽減を図ることができます。

農業技術の継承

これまで農業従事者による経験と勘に支えられてきたスキルやノウハウを、センサーや画像などから得た情報を元にデータ化。それをAIによって可視化することで、システム上にスキルやノウハウが蓄積されていくことになります。そのため、経験の浅い農業従事者であっても、無理なく農作業に取り組むことができるようになります。

次世代の農業システムを実現する技術とは

農業にICTやAI、リモートセンシングなどの技術を取り入れる目的は、農地や作物の状況を可視化すること。篤農家と呼ばれるヒトたちが持つノウハウやスキルをデジタル上で再現し、農作業を平準化することで、若年層の農業領域への新規参入がしやすくなります。このような課題解決に必要な農業システムを実現する技術について解説します。

ビッグデータ

ビッグデータとは、その名の通り、巨大な情報を持つデータですが、ただ大量であるということではありません。さまざまな形式・性格・種類のデータを指します。農業におけるビッグデータには「環境情報」「管理情報」「生態情報」が重要です。
環境情報は気候や土壌、水などの農作物が育つ環境に関することで、管理情報は種子や農薬、肥料を施した時期、量など。生体情報とは農作物の育成に関するもので、葉の状態や果実の酸度・糖度といった情報です。これらのデータをしっかり収集することで、データとしての価値が高まります。

AI

生活の中でも一般化してきたAI。「AI=Artificial Intelligence(人工知能)」は読み取った画像などのデータを収集しているビッグデータと比較することで、画像がどのような状態なのかを人工的に判断する機能です。これによって、自動収穫ロボットで「どの野菜が収穫に最適なのか」という判断が可能になります。

ロボティクス

機器をコントロールするためのフレームや機構を設計する機械工学、フレーム内で稼働するモーターを制御管理するための電気電子工学、ロボットの実行を判断・制御する情報工学などを駆使する総合的な技術がロボティクスです。農業においては、自動収穫ロボットや、自動除草機、ドローンに装着する農薬自動散布機能などの制御に必要となってきます。

リモートセンシング

モノに触れることなく、そのモノの実態を把握するための技術です。衛星やドローンから得た画像から農産物の生育状況を確認して肥料の散布のタイミングを決めたり、圃場全体の生育状況をマップ化したりなどに活用されます。

画像認識・処理

センサーやドローン、ロボットから得た画像を元に生育の状態を判断して、収穫の是非を管理したり、仕分け機などでは出荷の際のサイズや品質分けに利用されたりする技術です。従来はヒトが目で見て判断していたことを、画像認識・処理で行うことが増えてきています。

再生エネルギー

スマート農業を稼働する農業システムにおいて給電は最重要であり、逆に給電なしにはスマート農業の導入はほぼ不可能です。低炭素・循環型社会の重要性が求められている社会環境の中では、今後より一層再生エネルギーを利用することが求められます。農地を活用して太陽光パネルを設置する営農発電は、農業システムの重要な鍵となるでしょう。

IoT

IoTは「Internet of Things」の略で、モノのインターネットと呼ばれています。センサーを備えた機器が単体でインターネットに接続し、例えば温度や湿度、日照時間等の環境データを収集し、圃場の環境を数値化するために使用可能です。あらかじめ指定したトリガーを設定することで一定の数値になると潅水する、などの業務が自動でできるようになります。

農業を可視化するためのシステムで未来を実現

農業は、人手不足が大きな課題となっています。少ない人員または就農経験の浅い従事者であっても、今まで通りに農作物を作付け・収穫できるようにするためには、農作業全体を可視化していくことが重要になります。そのためにも農業システムの導入は今後不可欠になってくるでしょう。
この記事をご覧頂いているあなたの技術を活かして、農業の未来を作ってみませんか?

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