AI農業のAGRIST株式会社

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出資を決めた理由は情熱-株主インタビュー:宮崎太陽キャピタル様

2021年03月08日 2021年

出資を決めた理由は情熱-株主インタビュー:宮崎太陽キャピタル様

宮崎太陽キャピタルについて
第2地方銀行である宮崎太陽銀行の現頭取の林田氏が1996年に設立。第2地方銀行系のベンチャーキャピタル(VC)としては、全国的にも古い歴史をもつ。2014年、6億円規模のみやざき未来応援ファンド(1号)を創設。2018年、同2号ファンドを創設。宮崎太陽銀行が地元と定義する宮崎と鹿児島の企業に対して出資を行っている。従来、キャピタルゲインを目的としたVCが多い中、IPOを必須条件とせずに、地元企業の応援に重きを置いているのが特徴。株式と社債の両方を取り扱い、社債だけという支援も多い。今回、地域経済活性化に貢献するという観点から、ピーマン・きゅうりの収穫の人手不足という地域の農業課題を解決するAGRIST株式会社に出資。

・野村公治氏:株式会社 宮崎太陽キャピタル 代表取締役
・柳本智仁氏:株式会社 宮崎太陽キャピタル AGRIST投資担当(案件取り上げ時)
(以下 敬称略)

 

出資を決めた理由は情熱


齋藤:改めて、柳本さんに伺いたいのは、なぜ、AGRISTに出資しようと思ってくださったのかということです。最初から「やりましょう!」と言っていただけたのは、なぜでしょうか?

柳本:それはもう、齋藤さんたちの情熱を感じ取ったというのが一番です。加えて、宮崎が農業の県であるという背景もありますし、それに、自社の利益よりも困っている農家さんや今後の日本全体の農業における人手不足・高齢化という課題を解決しようとしていることに共感しました。

自分の中では、地域の話だけではなく、日本全体において、人手不足が課題になっているというところで、腑に落ちたという印象はあります。また、自動収穫という手段を使って解決しようとしているところが、当社のファンドのコンセプトに合っているというところで、断る理由はありませんでした。

農家と共同開発をしている事を高く評価

野村公治氏:株式会社 宮崎太陽キャピタル 代表取締役


野村:私が共感したのは、やはり農家さんと一緒にやって、ビジネスモデルを構築されているところです。

大手企業でも、こんなに良いものを作って売れないわけがないというようにメーカーの目線でモノを作っていると、ユーザーにヒットしないんですよ。AGRISTは、その逆を行かれていて、ピーマン農家の福山さんと一緒にロボットを開発して、農家さんのニーズは何なのかを見極められている。

まず農家さんとしては、2割〜3割採れればありがたいんだということを把握されている。それは、実際に農家さんと一緒にやって聞いておられるから分かる話であって、やっぱり作る人の勝手な目線ではなくて、ユーザーの目線で一緒にロボット開発をされているというところが、成功されている大きな理由の一つかなと思っていますね。

齋藤:農業用のロボットを作る上で、顧客の視点はすごく大事です。出資してくださったインキュベイトファンドさんが仰るには、他にも色んなロボットベンチャーや農業ベンチャーがある中で、AGRISTは農家と共同で最先端のロボットを作ろうとしているところが非常におもしろいという評価をいただきました。

一方で、私が御社の動きで凄いと感じたのは、前社長の志戸本さんが現場の声をすごく聞いていた部分です。色々な農家を回って「収穫の人手が足りないというのは、聞いていたんだよ」というのが直ぐに出てきたというのが非常に印象的でした。

私たちのような投資先も含めて、地元の事業者さんの声を聞くというのは、よくやられているんですか。

柳本:そうですね。それが、重要な仕事です。銀行の仕事を考えると、まず聞かないことには多分始まらないかなと思います。

齋藤:柳本さんと農家が感じている課題感についてすぐ意思疎通できた事はとても印象的でした。

これからのAGRISTに期待すること

柳本:期待することは、いち早く1台でも多く、農家さんに、現場に収穫ロボットを導入してもらうことです。共同開発されているピーマン農家の福山さんも言われていたかと思うんですが、農家は100%のものを最初からは求めていないので、7〜8割の完成度でも良いので、早く投下して、どんどんブラッシュアップしていってもらいたいなと思います。

実際ハウスの中にも入らせてもらったんですけれど、あの時は1〜2月ぐらいだったと思いますが、既に結構暑かったなという印象がありましたので、夏はもっとすごいんだろうと思います。あれがもう少し夏場近くになってくると、かなりの重労働かつ過酷な状況で、収穫を人がするというのは本当に大変なんだろうなと思います。

だから、人も、後継者もどんどん減っているんだろうなというのは切に感じましたので、早く1台でも農家さんに役立つロボットをどんどん作ってほしいと思います。

 


野村:私からは、先ほどの話と少し重なりますけど、やはりどんどん全国的に対して、宮崎・新富町のAGRISTということで、名前をどんどん広げていただいて、ゆくゆくはUIJターンを促進する存在になって、農業をサポートしてほしいです。

宮崎において、やはり農業は重要で、その農業の重労働という点が課題なのであれば、それを解消することで、農業がカッコ良くなると若い人で就農しようという人が増えてくると思います。

また、今回のコロナ渦で関心が高まっている食べ物について、そんなに輸入に頼っていて良いのかと。国内でちゃんと生産できるようにしていかなければいけないという方向性で進むと思いますので、その動きの中心が宮崎であってほしいと思います。

そこで、ピーマンと言えばAGRIST。AGRISTと言えばピーマンというところで有名になってもらって、県の就労だったり、雇用だったり、そういうところにも寄与していただくと良いと思います。その後、早くキュウリに取り組んでいただいて、どんどん違うものにも適用・応用できるようになってくると格段に広がっていくと思うので、その辺をどんどん進めていただきたいなというふうに思っています。

 

齋藤:ありがとうございます。収穫ロボットを初めて見た時、どんな印象でしたか?

柳本:いや、すごいなっていうのが一番なんですけど、そもそもお話を初めに聞いてから投資に至るまでの期間や検討に入るまでの期間も、こんなスピード感を持ってやっていらっしゃるんだというのがあって、北九州高専のメンバーと一緒にやっているという話を聞いた時、当時まだ私は2〜3年先のことなんだろうなと考えていました。

ですので、まだ開発の段階で、色々やり取りしているんだろうなと思ったら、もう現場で実際やり取りをしながら、もうこういうモノが出来ているんだって思って、完成度の高さと早さにびっくりしました。

齋藤:そうですね。僕らも農業の現場を見ていて、農家さんから収穫ロボットが必要だという声をずっと聞いていたので、とにかく早く作って早く市場に投下して、間違っていたら間違ったで直ぐに修正をすることを考えていました。

そのスピード感はありましたし、デューデリの途中のやり取りの中でも、どんどんAGRISTがブラッシュアップしていっているという声は、他の株主様からもいただきました。

柳本:特徴として、本当にもうモノが出来ているので分かりやすかったですね。これを実際に開発して、どんどんやっていくんですよと投資委員会でも説明できました。

野村社長のインタビュー記事から採用が決まる
AGRIST代表 齋藤


齋藤:ありがとうございます。以前、野村社長が地元新聞のインタビューでAGRISTについてお話ししてくださったおかげで、県内で1名エンジニアの採用ができまして、彼が大活躍してくれています。

野村:元々あまり出るのが得意ではないものですから、取材もお断りすることがありますが、出てみたら、そのようなことが起こって、本当に良かったと思います。

まずご本人の行動力にもびっくりするんですが、ああいう新聞記事を見て、そういうふうにアクションを起こす方がいるんだなという意味では、我々が投資をしたお客様のお役に立てたという意味では大変嬉しいなというふうには思います。

我々も今、銀行として、今回のようなパターンでもご紹介ができるっていう、こんなこともあるんだなと、本当に驚きました。

齋藤:地域の金融機関は、信頼も高いですしコミュニティ濃度も高いため今回のように予期せぬところから採用に直結していると感じました。AGRISTが良い成功事例として残ることで、良い事例をたくさんつくっていけると良いですね。AGRISTが今後上場して、雇用も増やして、経済が活性化していくということが重要だと思います。我々が雇用の基盤になって良い事例として、また次の世代を育てていけるような事例になれるように思っています。

地域と連携して経済のエコシステムをつくる

野村:今、我々のところで、株や社債というファイナンスが収益の柱となっていますが、私が宮崎太陽キャピタルにきてからは、銀行が行う本業支援の一端を担うという意味でも、マッチングの重要性を意識しています。

そういう意味では、ご紹介をしている青果卸さんのところに収穫ロボットを入れていただいて、それによって青果卸さんのお客さんの農家さんに喜んでいただくという手法はありだと思います。

その中で、すごくキュウリの課題解決を求めておられるので、これでキュウリの収穫ロボットができれば、キュウリ農家さんも助かるかたちになり、本当にWIN-WINの話になっていくんだろうと思います。

宮崎の農家さん、ピーマン農家さんやキュウリ農家さんの人手不足の課題、なかなか人が雇えない、労働実習や海外研修生がなかなか入国できない状況の中で、収穫ロボットがどんどん活用されていくというのは本当に宮崎のためにも、日本中の農業のためにも、役に立つ話だと思いますので、そういったところに繋げられるようにしていきたいですね。

齋藤:私も改めて、このスタートアップベンチャーをやらせていただき、小さな経済圏をつくるきっかけにもなるとに思います。我々がつくる収穫ロボットが、稼げる農業や色んなエコシステムにも関連性を持って、地域に良い経済効果を生み出していくということが、すごく重要だと思います。

今後も意見交換をさせていただいて、しっかり連携をさせていただきながら、次はキュウリの開発にも取り組んでいきます。そしてそこで強い地域経済をつくるというようなことができていければ良いなと思います。

野村社長のインタビュー新聞記事で地元採用が決まった事からもわかるように地元のパートナーがいることは非常に重要です。

地域での雇用創出と経済活性化にも貢献したいと考えていますので、引き続きお力をお貸しいただければと思います。本日は、ありがとうございます。宜しくお願い致します。

 

取材日時:2020年1月

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