AGRIST株式会社は、2019年創業のテクノロジーで農業課題を解決するスタートアップ・ベンチャー企業です。高齢化が進み農産物の収穫の担い手不足の課題を、自動収穫ロボットで解決します。
2021年からは、宮崎県から全国に販路を拡大しており、地方から世界の農業課題を解決するグローバルベンチャーへの成長を目指しています。
今回は、農業スタートアップAGRISTの創業メンバー3名(齋藤、秦、高辻)に、AGRISTを創業するに至った動機などをお話をしていただきました。:
ー皆さんがAGRISTを創業しようと思ったきっかけを教えてください。
高辻(執行役員):
ロボットへの大きな思いが私のモチベーションです。
高専時代には、ロボコンなどでロボットを開発していましたが、ロボコンでは体育館のような動かしやすい環境で動かすことができます。一方、農場は過酷な環境(ハウスの中という半屋外、高湿度、高温度、葉っぱなどの障害物、土という動きにくい場所)という大きな違いがある。そこで動けるロボットを作れるのは、純粋な好奇心から面白いと思いました。
高専の研究室の先生から収穫ロボットのプロジェクトの提案があり、そこに参加したのがAGRISTにジョインすることになった直接のきっかけです。そのプロジェクトは2019年2月くらいからスタートしていましたが、そのまま2019年10月の創業メンバーとしてAGRISTに加入し執行役員に就任しました。
秦(取締役・最高技術責任者):
自然が好きで、自然と繋がった仕事として農業への憧れがありました。学生のときから、農業をするか、就職するかを悩んでいたのです。
しかし、就農はリスクが高く感じられ、なかなか踏み切ることができない。また、現在、農業といえば、植物工場化の流れも大きくなってきており、そこに対して寂しさも同時に感じていました。農業は日本の文化の一つだという思いがあり、それを絶やしたくなかったのです。
それを解決するのが農業技術だと思い、農業技術を思いっきりできるスタートアップはAGRISTだろうとジョインを決めました。
ーAGRISTがいま抱えているの課題について教えてください。
秦:
現状、ピーマン農家にとって、収穫ロボットはまだ身近なものではありません。軽トラのように、一家に1台持っておこうという感じではないのです。
農家さんとしては、誰かの成功事例を見たいし、自分が失敗事例になりたくない、まだまだ収穫ロボットは先だという意識があると感じています。
AGRISTの収穫ロボットは150万と、農機具としては決して高い部類ではないのですが、一回の投資額としては大きい額であることは間違いありません。また、新しいものを試して失敗したという自分や周りの経験談から、収穫ロボット導入へのハードルが高くなっていると思います。
その意識を変えていくのが課題でしょう。
農家が新しいものを導入するにはJAの方針や意識も大きく影響を与えるものです。そこで、今は農家だけでなく、その指導的立場にいる人の意識改革に力を入れています。
また、実際にAGRIST自身で農業法人を立ち上げました。これは、自分たちが成功事例となろうという試みで、引き続き農業ロボットを当たり前にする活動をしていこうという思いです。
農家に新しいことを取りいれてもらうには、自分たち自身が新しいことをやっていくということですね。
ー大手企業からスタートアップベンチャー企業へと移動した場合、マインドセットの大きな変化が求められることが予想されます。今までは必要のなかった領域に対応する必要も出てくるかもしれませんね。
齋藤:もちろんチームの中で役割分担はありますが、これはあくまで形式上のものです。課題があったときに、領分にとらわれずに、垣根を超えて、どうすれば解決できるかを皆で考えていく必要があります。全員がそのようなマインドを持って欲しい、そのマインドセットをいかに作るかは課題といえます。
高辻:私自身が課題として感じていることはリーダーシップ作りです。
AGRISTのエンジニアチームに在籍するメンバーは、それぞれ様々な経験をしてきています。各メンバーは自身の経験を元に良かれと思って発言してくれ、アイディアを出してくれます。だからこそ、その方向性が異なることはよくあるのです。それをいかにまとめるかは、自分自身のリーダとしての課題ですね。
ロボット開発では必要となる技術領域が幅広く、一人のリーダーの知識を持ってチームを引っ張っていくだけでは良い開発はできません。それぞれの意見を集約していく力が必要だと感じています。
秦:今のAGRISTには様々な企業で経験してきたエンジニアが在籍しています。各人の経験を生かしてほしいのはもちろんです。一方で、これまでの経験からくる考え方を打ち破って、ベンチャー企業AGRISTの中で新しいことに挑戦してもらわなければいけません。
ー企業としても、ビジネスとしても、規模が大きくなっている中で、中も外も考えたブランディングが必要になってきている気がします。
齋藤:まさにそのとおりで、今までは対外的な発信に力を入れてきたが、今後は中を強化することで、自然と外へのアピールにもなる形としていきたいです。
ただし、急成長する時期は、外を向くことを忘れてはなりません。中だけを向いてしまうとどうしても、数値は落ちるものです。まだこれから成長できるAGRISTとしては、中をないがしろすることなく、外への勢いも継続していきたいと考えています。
秦:それぞれが自分の役割を見つけて、自分の長所を生かしていくことができれば強いですね。私自身は皆が同じ方向を向いて成長できるようなマインドセットのサポートをしていきたいです。