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農業参入のメリット・デメリット

2024年08月13日 2024年

農業参入のメリット・デメリット

2009年に農地法が大幅に改正され、農地の借り入れ要件が緩和され多くの企業が農業に参入を始めました。農業分野では労働集約型に頼った非効率な営農が主流で、デジタル技術が浸透していないのが現状です。

その現状をビジネスチャンスとして捉える企業が多く、2009年以降農業に参入する企業が増えています。

一方で、農業参入した企業の7割以上が赤字というデータもあり、農業参入したものの撤退する企業も多く、黒字化が難しいのが農業です。(日本政策金融公庫

今回は、農業参入のメリット・デメリットについて、実際に農業参入したAGRISTが解説します。

企業の農業参入が注目される理由

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企業の農業参入が注目されている理由について解説します。

要件緩和で参入しやすくなった

2009年に農地法が大幅に改正されました。この改正により農地の借り入れに関する要件が緩和され、企業の農業参入が容易になりました。

その結果、農業参入企業数は5倍のペースで増加しています。

企業の農業参入の実態

引用:農林水産省 企業等の農業参入について

ビジネスチャンスの宝庫

デジタル化が浸透していない農業分野は、ビジネスチャンスの宝庫と言われています。

AGRISTが農業に参入した際にも、出荷伝票や帳簿などは紙でのやり取りが主流で、スプレッドシートやExcelで管理するだけでも効率化が可能でした。

また、今までは生産に重きを置き消費者が何を欲しているかの視点での営農が行われていませんでした。マーケット思考の営農を行うだけで差別化が可能で、農作物を効率的に高く販売することができます。

このように身近な所のデジタル化で簡単に生産性が向上し、多くの資金をかけなくても効率化が可能です。労働集約的で、閉鎖的だった農業にはビジネスチャンスが多く残っているのも事実です。

事業シナジーを生むことができる

KAGOMEの農場

引用:カゴメの生鮮とまとづくり

トマトソースやケチャップの国内最大手のKAGOMEは、1998年より本格的に農業参入しています。

品質と安全性の追求はもちろんですが、仕入れ値や加工商品の供給安定化に寄与しています。

農業生産部門の売り上げは2015年には100億円を超え、黒字化にも成功しています。KAGOMEのように農作物を仕入れて加工する企業にとっては事業シナジーが期待できます。

また、2022年にはNECと手を組み、本格的にアグリテック領域に参入しました。(参考:カゴメと NEC、AI を活用して加工用トマトの営農支援を行う

ベテラン農家の優れた栽培技術をAIに学習させ、栽培手法をリアルタイムに提供するプラットフォームの構築を始めています。

農業参入の3つのメリット

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農業参入のメリットを3つご紹介します。

事業拡大

新たなビジネスモデルの創造と収益の多角化が可能です。事業の新たな軸と成り得る収益源の確保が可能となります。

また農業分野を取り巻く社会課題が深刻化し、これらの課題を解決する為に公的補助も充実しており、参入の後押しも充実しています。

地域貢献や社会貢献が可能

農業を軸とした地域貢献や社会貢献が盛んに行われています。

企業が農業に参入することで、農家の高齢化問題、新たな雇用の創出、食料問題の解決、更にはCSRやSDGsなどへの貢献も可能になります。

更には、農福連携などのような障がい者雇用の問題解決にも寄与します。

既存事業とのシナジー

先程KAGOMEの事例を紹介しましたが、三重県にあるうれし野アグリ株式会社さんも事業シナジーを生む取り組みをされています。

植物油は、製造時に大量のエネルギーが必要になります。当初、エネルギーに石油を使用していましたが、途中で国産エネルギーに代替えするということでバイオマスボイラーを導入しました。

その際に製油工場から発生する大量の温水の活用方法について三井物産へ相談したことが農業参入のきっかけです。

企業の農業参入4社コラボでの大規模施設園芸

本業の精油事業で発生する温水を利用し、ビニールハウスの加温に役立てている事例です。

農家1戸あたりの平均所得の図(引用:農林水産省)

引用:農林水産省令和3年 農業経営体の経営収支

農林水産省の調査によると、農業では1000万円の売り上げに対し、経費が900万円近くかかっています。売り上げの9割が経費になっている農業分野で、如何に経費を削減するかが黒字化のポイントです。

うれし野アグリ株式会社さんでは、本業で廃棄していた温水をビニールハウスの加温に使い、経費の削減と事業シナジーを生んでいる素晴らしい事例です。

農業参入の3つのデメリット

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農業参入の3つのデメリットをご紹介します。

黒字化が難しい

企業の農業参入の損益状況

引用:企業の農業参入に関する調査結果を基に作成

日本政策金融公庫の調査によると、農業に参入した企業の7割以上が赤字です。

過去にファーストリテイリング、吉野家、オリックスなど、資本を持った企業が農業に参入しましたが赤字により撤退しています。

農業分野での黒字化の道のりは険しく、創意工夫が必要です。

経営にリスクが伴う

AGRISTの被災した農場
AGRISTの被災した農場

こちらの写真は、2022年の台風14号で被災したAGRISTが営農していたビニールハウスです。

この写真のように農業には自然災害のリスクや、病気や害虫による不作などのリスクが存在します。

定植後すぐの被災でしたのでリカバリーができ、大きな損失にはなりませんでしたが、ある程度成長して被災した場合は、その年の収益が殆どなくなる可能性すらあります。

このように農業には自然災害のリスクがあることを念頭に置いた事業計画が必要です。

環境変化への対応が必要

近年CSRやSDGsの関心が高まり、企業は利益だけを追求するのではなく、持続可能な社会への貢献が必要な時代になりました。

従来の企業の役割は利益の追求や株主への還元に焦点を当てることが主でしたが、近年では企業に対してより広範な責任が求められるようになり、社会的な使命を果たすことが必要不可欠となりました。また消費者意識の変化もあり、環境に配慮しない企業やフェアトレードを実施していない企業の商品の不買運動なども起きています。

こういった社会的価値観の変化に対応しながら、新たなビジネスの創出をしていく必要があります。

まとめ

企業の農業参入の現状としては、規制緩和により右肩上がりに増えています。

農業参入のメリットとしては、

  1. 事業拡大ができる(新たな収益源と成り得る)
  2. 地域貢献や社会貢献が可能(農業課題や地域の雇用創出など)
  3. 既存事業とのシナジーが生まれる

農業参入のデメリットとしては、

  1. 黒字化が難しい(7割以上が赤字)
  2. 農業にはリスクが伴う(自然災害や不作)
  3. 環境変化への対応が必要(CSRやSDGsへの対応)

以上が、企業の農業参入の解説記事でした。

AGRISTでは、農業参入を検討している企業向けのコンサルティングや、収穫ロボットを使用した次世代農業の提案を行っております。

お気軽にお問い合わせください。

     

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