収穫ロボットが遠隔操作できるようになったことで、自宅にいながら農業に参加することが可能に。身体の不自由な方々とロボットが共存する新しい農業のあり方を提案します。
ロボットベンチャーのAGRIST株式会社(宮崎県児湯郡新富町 代表取締役:齋藤潤一、以下 アグリスト)は2022年1月26日に新機能が追加された自動収穫ロボット「L」をメディア向けに公開します。遠隔操作、夜間稼働などの新機能が追加され、さらに新しい構造の採用により、2021年9月に公開した機体と比較して収穫量が大幅に向上しました。
アグリストはロボットの導入を検討されている農家、農業進出を検討されている企業、スマート農業の普及を目指す行政の方々の視察を随時受け入れています。視察をご希望の方は弊社ホームページよりお問合せください。
(視察問い合わせページ:https://agrist.com/contact/contact03)
【収穫ロボットで農福連携を実現】
従来の自動収穫機能に加え、遠隔操作機能を追加しました。ピーマンの探索・認識を人間が、収穫をロボットが行うといった共同作業が可能になりました。重労働である収穫の工程はロボットが自動で行ってくれるため、身体が不自由な方でも自宅からロボットを操作して農業に参加することが可能です。ロボットだけでも自動収穫は可能ですが、人間の判断をAIが学習していくことで、ロボットはさらに効率的に自動収穫を行うことが可能になります。
持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)で「誰一人取り残さない世界」が掲げられ、日本においても企業の障がい者の法定雇用率が引き上げられるなか、遠隔操作機能を搭載した「L」を活用した企業の農業参入により、身体が不自由な方々が農業分野で活躍し、自信や生きがいを持って社会参画できる「農福連携」の実現が期待されます。
【夜間稼働により連続稼働時間向上】
AIの画像認識技術の向上により、これまで困難であった夜間のピーマンの自動収穫に成功しました。これにより、ロボットの稼働時間を日中最大12時間としていましたが、24時間連続稼働が可能となり、更なる収穫量の向上に寄与します。さらに、畝間のワイヤーを自社で開発した独自機構のレールで接続することで畝間移動が可能。人がいない状態でもロボットがビニールハウスの中を巡回することができます。
【収穫量向上、1日40kg】
2021年9月に公開した機体では収穫ハンド部分にカメラを1機搭載していましたが、今回新たにロボットの本体(機体・胴体)にピーマン探索用のカメラを追加。「ピーマンを探すカメラ」と「収穫アプローチを調整するカメラ」を分けることで、より効率的にピーマンの位置を把握し、最短経路で収穫動作へ移行することを実現しました。また、今回新たに収穫ハンドに多軸アームを採用。枝葉をAIが認識・多軸アームで回避してピーマンに収穫アプローチすることで、ピーマンの樹木にダメージを与えない「安心・安全なロボット」へと進化しました。
【最高技術責任者 秦 裕貴 氏 のコメント】
2021年9月にロボットを公開して以降、農家さんを中心にたくさんの改善点のご要望をいただきました。その中でも特に、“コストに対する収穫能力”が課題として上がっていました。今回開発した夜間収穫機能によりロボットが稼働できる時間帯の制限が無くなった事と、探索効率の向上により収穫速度が2倍に向上した事によってロボットの費用対効果が向上しました。
また、遠隔操作機能ではロボットを媒介にして農場とあらゆる場や人とをつなぐことができます。今後5G通信が普及して高精細な映像を見ながら遅延なくリアルタイムでロボットを遠隔操縦できるようになる可能性を視野に入れると、自動収穫と合わせてロボットが農業の人手不足を解決するパラダイムシフトのきっかけになると考えています。
今回開発した機能によって、農場で実際にロボットがピーマンを収穫し続けている未来がすぐそこに見えてきました。今後は開発フェーズから導入フェーズに以降し、細部の作り込みに取り組んで参ります。