1980年に設立された青葉仁会(あおはにかい)は、知的・身体障がい者の支援施設を拡充していきました。設立から、株式会社モンベルとの提携(1991年~)や地域連携を深め、飲食店や農園、石鹸や、木工、菓子などの工房を展開してきました。地域貢献と多様な就労支援を通じ、誰もが活躍できる社会を目指し、30年以上にわたり進化を続けています。
今回は「満天ひろば」にて、インタビューを行いました。
満天広場の誕生と発展
ハーブクラブを拠点に、農園が広がり、農業ができるなど、様々な構想が実現してきました。「満天広場」は、利用者さんの作業場の拡大と道の駅の機能を兼ね備えています。今では、このエリアでの事業展開が大きく広がり、地域のコミュニティスペースとして、ものづくり体験や、手ぶらでアウトドアを楽しめるような魅力的な場所となっています。
冬でも薪ストーブで温まるテラス席とこだわりの空間づくり
また、冬でも心地よく、訪れる方々に心身ともにリラックスして過ごせるよう、オープンテラスには薪ストーブを設置しています。
主な事業部門と魅力
満天広場は、カフェの運営石けん工房と縫製事業という二つの生産部門、そしてカフェ部門を事業の柱としています。カフェ部門には、カフェの運営、ガーデン管理、施設管理、物販があります。満天広場は、私たちの法人が手掛ける商品のハンドメイドマーケットのような役割もはたしています。
石けん工房
石けん工房は、ラベンダー、はちみつ、米ぬかなど、様々な種類の化粧石けんを製造しています。製造方法は「コールドプロセス製法」という、熱をあまり加えない製法を採用し、完成までに1〜2ヶ月かけてじっくりと乾燥させています。この時間と手間が、私たちの石けんの大きな特徴です。
ほとんどが手作業で手づくりの商品ですが、安心して使用いただけるよう品質管理を徹底していて、多くの方々に好評をいただいています。
年間約2万〜3万個を生産し、その大半は企業からのOEM(受託製造)です。昨年は通販会社のフェリシモ様からのご注文が最も多く、地元の米農家さんからの依頼で米ぬかを使った石けんを作るなど、地域の皆さまから全国の企業まで、幅広くご依頼をいただいています。百貨店や伊勢丹でのイベント販売、さらには一部商品をフランスへ輸出するなど、展開が広がっています。
多くの方々からお声がけいただく機会が増え、大変ありがたく感じています。
縫製事業とモンベルとの長年の取り組み
縫製事業では、主にモンベルの製品を製造しており、30年以上の長きにわたる事業提携を続けています。
モンベルのフリース製品の端切れなど、産業廃棄物になるはずだった素材を100%再利用する発想から始まりました。例えば、クマのぬいぐるみには小さな端切れまで全て詰め物として活用しています。私たち青葉仁会が端切れを使った商品を開発し、モンベルにプレゼンして認められたものが、モンベル製品として販売されています。
特にフクロウシリーズは人気が高く、以前テレビでKAT-TUNの亀梨さんが紹介された際には、発注が殺到しました。メディアの影響力は本当にすごいなと感じましたね。
なお、法人内の店舗ではモンベル製品はモンベルルームがあるハーブクラブでのみ購入可能ですが、満天広場では法人のオリジナル商品を販売しています。
利用者さんの成長を促す多様な働き方
青葉仁会では、利用者さん一人ひとりに合った仕事を提供することを大切にしています。根気がいる細かい作業が得意な方には縫製や手芸、体を動かすことが好きな方には屋外作業など、個性を活かせる環境を整えています。
ここでは、縫製、商品のパッケージングや梱包、さらにはパソコンを使ったデータ管理まで、利用者さんが事業全体に幅広く関わり、成長を実感できる場となっています。
満天広場ガーデン班の活躍
満天広場のガーデン班は、さまざまな作業に取り組んでいます。このエリアでは手が回りにくい「隙間の仕事」も引き受けているんですよ。例えば、夏に大量に収穫されるブルーベリーの摘み取り作業を手伝います。また、広大な敷地で米や野菜を栽培する「アオハ二ファーム」の手伝いも行っています。ガーデン班の仕事は年間を通して様々で、ガーデン作業だけでなく、時期によっては他の事業所のヘルプもしていますし、地元の農家さんの手伝いもしているんですよ。地元の梨農園でのお手伝いなども行います。まさに地域のお助け役のような存在ですね。
季節を楽しむイベントと地域連携
青葉仁会では、季節ごとのイベントを多数開催しています。
夏には、人気のブルーベリー狩りが楽しめます。味覚狩りの後はハーブクラブでの食事や、満天ひろば敷地内の遊具で遊ぶご家族連れも多く、夏には簡易プールやミストの設置で賑わいを創出しています。休日には石けん作り体験などのイベントも人気です。
奈良東部山間地域の団体と連携してイベントを開催することもあります。例えば、今年の8月2日には、子どもたちの自由研究の題材となるような石けん作りや木工体験などができる「宿題フェスタ」を開催します。昨年は1日で700人もの来場者があり、地域のお祭りやフェスタの拠点としても定着しています。
アウトドア事業と夜の活用
豊かな自然を活かしたアウトドア事業も展開しています。満天ひろばの敷地は、野外フェスなど多様なイベントの拠点となっており、法人内でも特に多くの活動ができるフィールドだと感じています。
満天広場のBBQは人気で、ゴールデンウィーク中は常に予約でいっぱいでした。
夜も特別な体験ができる場所にしていきたいと考えています。現在、夜間も楽しめる企画を増やしており、この6月には「蛍に出会う夜」と題したBBQイベントを予定しています。10月は、法人内で栽培したさつまいも掘りやしいたけ狩りを行い、収穫した食材を持ち込んでBBQを楽しんでいただく体験型イベントも計画中です。
「満天広場」の名の通り、夜も特別な体験ができる魅力的な場所にしていきたいですね。