アグリテックブログではアグリストメンバーの想い、魅力を発信していきます!
ロボットの魅力、技術へのこだわりなど、開発にまつわるお話をまとめていきます。
今回はメカ設計を担当するエンジニアです。
ハウスの中で必須条件だった吊り下げ式のロボット
土壙ハウスの中は、あふれてしまった灌水のぬかるみや、剪定後の枝葉が落ちていてロボットが自走するには厳しい環境。生産者の声からヒントを得て、吊り下げ式で移動するロボット開発を始めました。開発にかかわったアグリストのエンジニアに話を聞いてみました。
普段何を担当していますか
僕の役割はメカ設計ですね。メカ設計には一人ずつ担当が決まっていて、僕は”ドライブ”と言われているロボットが移動するための装置とハウス側の設備を担当しています。
ハウス内ではワイヤーが張り巡らされていて、ロボットが動き回れるようになっているのですが、僕は「こういう治具でワイヤーを張ると動き回れるよね」というところの設計をしています
みんなはロボットを作っているけれども、僕はどちらかというとハウス内のワイヤーレイアウト設計なので少し特殊かもしれないですね。
収穫ロボットを宙に浮かせる
現在、国際特許申請中とのことですが、吊り下げ式ロボットというのは珍しいものですか?
今回は、吊り下げて収穫を行うという点に関してはAGRISTだけがやっていることなので、特許を申請しています。
吊り下げ式は収穫作業時もブラブラ動くイメージがありますが、その動きを抑える工夫もされていますか?
ある!ありますが、多分言葉では伝わらない(笑)。
物が移動する→止まる→揺れるというのは、移動方向に対して一方向の揺れが生じて慣性で揺れているんですね。この慣性の揺れというのは、ある程度工夫をすると1〜2回で収まったり、時間で解決できたりするので、そういうところを調整しています。
他の収穫ロボット開発の人たちが何で吊り下げ式をやっていないかというと、やはり吊り下げるとブラブラ動いてしまうからです。地面を走る状態でも収穫が難しいのに、ぶら下がって揺れている状態で採れるわけがない、というのが普通の感覚ですよね。僕たちはそれをやってみて「意外とイケてます」という感じ。
ハウス中をジグザグに張り巡らせたワイヤーを移動
吊り下げられるとバランスが悪くて揺れるので、ロボット開発をスタートした時は安定させるために2本のワイヤーを使っていたのですが、ハウス内は広いので2本のワイヤーを張るとそれだけコストがかかってしまいます。そこを改良していくうちに、ロボットをぶら下げるワイヤーは1本になりました。
なぜジグザグの経路を進む仕組みに
精度のいいロボットを作ろうと思ったら1000万円なんてすぐに超えるし、いくらでも高いロボットが作れるんですね。でも、AGRISTでは「シンプルな構造で安くロボットを作る」というのがもともとのコンセプトとしてあったので、最初はワイヤーを一直線に畝ごとに張って、人の手でロボットを別のワイヤーに掛け替えるという作業を前提としていました。ところが、それだと農家の方に手間を取らせてしまいます。その声から考えたものが、一筆書きで1本のワイヤーを張り巡らせる改善策です。
コストをかけずに繊細な動きを追求
僕は「移動」を担当しているのですが、移動というのはロボットにとって特別な機能ではない機構なので、そこの部分のコストは極力抑えないといけないんですね。
いかにコストをかけずに繊細な動きをするかという点にもこだわらないといけなかったので、ここが一番難しかったですね。最初は「無理じゃないか?」と思いながら開発を進めていましたが、小さな改善やアイデアでコストをかけずに試行錯誤していくうちに「思っていた通りに動けた」という日が来て、今はそれの集大成になっているというところです。
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