人々の労働を手伝うロボットは、工場に始まり、農家や家庭にまで活躍の場を広げています。中でも産業用ロボットは労働の効率を高めてくれるパートナーとして、様々な場で活躍しています。そんな産業用ロボットの活躍を支えているロボットの部品の一つが、マニピュレータです。ロボットはそれぞれの活躍の場に適したマニピュレータを装着しています。このマニピュレータなしでは、ロボットのスムーズな作業はないといっても過言ではないでしょう。本記事では、マニピュレータがどのように社会に貢献しているかを解説します。
ロボットのマニピュレータとはどの部分?
ロボットにはマニピュレータと呼ばれる部分があります。まずは、ロボットのマニピュレータに関する基本知識をみていきましょう。
マニピュレータとは作業をする手の部分を指す
そもそも、マニピュレータとはロボットのどの部分を指すのでしょうか。マニピュレータとは、もともと操作するという意味の言葉で、転じてロボット関連では、ロボットアームなどの動作をする部分をマニピュレータと呼びます。人型ロボットは、腕2本と脚2本、計4本のマニピュレータが接続したロボットと言うことができます。
マニピュレータを構成するもの
マニピュレータは複数の部品で構成されています。それらの部品とは、エンドエフェクタ(手先効果器)や、リンク、関節(ジョイント)や、ベース(土台)などが当てはまります。エンドエフェクタとは、マニピュレータの中でも作業をする部分で、物体を並べたり運んだりといった作業をする場合は、ハンド型をしています。他にも、溶接作業時にはアーク溶接部、切削作業時にはエンドミルといったエンドエフェクタを使用するというように、エンドエフェクタは作業内容にあわせて複数の種類があるのです。このようなエンドエフェクタを付け替えることで、ロボット本体の動作は変えず、別の作業をロボットに行わせることが可能になります。リンクは部品と部品を繋ぐ部分で、ロボットアームの棒状部分に当たります。関節は人間の腕の関節に当たる部分で、ロボットアームを自由に動かすための部分です。ベースとは、マニピュレータを固定するための部分です。
マニピュレータの種類と活用例
実際に動作を行うマニピュレータには様々な種類があります。ここからは、代表的なマニピュレータをいくつか紹介していきます。
6軸垂直多関節ロボット
まずは、6軸垂直多関節ロボットです。このロボットは、現在の産業用ロボットで主流となっているマニピュレータで、汎用性が高いのが特徴です。エンドエフェクタの種類によって、重い物を持ち上げて運んだり、組み立てや検査など様々な動作が可能になります。
6軸垂直多関節ロボットを導入することで、工場では省力化・省人化を図ることができ、人的ミスを減らして品質を高める効果も期待できます。6軸垂直多関節ロボットは人の腕に似た動きができるのが特徴で、軸が6つあるため、自由な可動を実現しているのも特徴です。
双腕型ロボット
双腕型ロボットは、人間の上半身のような形をしたロボットで、ベースに2本のマニピュレータがついています。複数の関節により、ほとんど人間と同じような動きをすることが可能になっているロボットで、人間が行っている作業を代わりに行うことができます。双腕型ロボットは、アームが1つだけのロボットと比べて、より複雑な動きをすることが可能になっているのです。物を浮かせたままでも作業をすることができ、部品の清掃や梱包作業などで活躍しているロボットです。
パラレルリンク
パラレルリンクロボットは、ベースから3本のアームが伸びた形をしています。可動領域が狭い代わりにスピーディーに動くことができ、物品を並べたり、詰めたり、包装したりといった動作が可能です。食品工場や中食工場で多く使用されているロボットで、多くの品を処理することができるロボットです。
農業ロボットのマニピュレータ
ここからは、ロボットが活躍している分野の一つである農業において、マニピュレータがどのように活躍しているのかを紹介していきます。
マニピュレータは収穫用ロボットなどに使用される
マニピュレータは、産業用ロボットの一部として、農業シーンでも活躍しています。例えば、人に代わって作物を収穫する収穫用ロボットには、収穫する作物に合わせたマニピュレータが使用されています。作物によって形やサイズ、硬さがそれぞれだからです。トマトを収穫するロボットはトマトを傷つけない繊細なマニピュレータを、キュウリを収穫するロボットは、硬いキュウリを切り離せる剛性を持ったマニピュレータが必要になります。
現在、農業の現場では様々な場面で、ロボットの力が必要とされています。農業には、高所に登って行う作業や、重いものを運ぶ作業などの、危険な仕事、重労働はもちろん、多くの労働力を必要とする選別作業や、熟練の技が求められる作業などもあります。農業人口の高齢化が進んだ現在、ロボットが多くの場面で役に立つのではないかと期待されています。
出典:農林水産省『スマート納涼の展開について』農業分野における課題②
挿し穂などさまざまな場所でマニピュレータは活躍!
他にも、マニピュレータが使用されている農業用ロボットは沢山あります。その中の一つが挿し穂ロボットです。挿し穂とは、増やしたい作物の若い茎や葉を切り取って、土に挿すことです。この挿し穂を行うことにより、品質が良く、均一な作物を作ることが可能になるのです。挿し穂の作業は単調で、屋内で行えることから、すでにロボットが開発されています。マニピュレータは、若い穂を分離する作業や、下葉を取り除く作業、植え付けを行う場面で活用されています。
マニピュレータの知識を活かすならAGRIST
ここまでマニピュレータとはどんなものか、どんなところで活躍しているのかを解説してきました。AGRISTでは、このようなマニピュレータの知識を持つエンジニアの皆さんとお仕事をしていきたいと感じています。AGRISTはこれからさらに需要を増す農業用ロボットを中心にロボット開発を行っている会社です。これまでにも、数台の農業用ロボットロボット開発を手掛け、実際に農家さんたちと実験を行っています。これからの社会を助けるロボットを作りたい皆さん、ぜひAGRISTで仕事をしてみませんか?
マニピュレータで暮らしを豊かに
マニピュレータは私たちの生活を様々な場面で助けてくれています。そんなマニピュレータをよりよいものにしていくことができれば、暮らしは更に豊かになっていくことでしょう。マニピュレータを良くしていくアプローチはいくつもありますが、農業用ロボットのマニピュレータ開発も、その暮らしをよりよくするための一手となります。マニピュレータを通して、社会を変えてみませんか?