介護用ロボットや農業用ロボットの活躍をニュースで目にすることが増えてきました。近年、大手企業がロボットフレンドリーな環境のための研究開発がスタートするなど、産業分野におけるロボット導入の動きが加速しています。そのため、ロボットの設計・開発を行えるエンジニアの需要が高まっています。
しかし、エンジニアからロボット設計技術者になるにはどうすれば良いか、どのようなスキルを身につければよいか悩んでいる人もいるでしょう。
そこで、この記事では、ロボット設計技術者を目指すエンジニアに向けて、ロボット設計技術者の仕事内容や役立つ資格、必要な素質をご紹介します。
ぜひ最後まで読んでいただき、ロボット設計技術者への道に近づいていただければ幸いです。
ロボット設計技術者とは
ロボット設計技術者の役割
ロボット設計とは、工場の自動化を実現する産業用ロボットを設計・開発する仕事のことです。工場の生産性を高めるロボットの設計だけでなく、安全性も考えた設計開発が重要となってきます。製品の生産工程や、使用される部品の特性を理解してこそ、利用者のニーズに合ったロボットを設計できるのです。
また、ロボット設計は、物理的なロボットの設計にとどまりません。ロボットの動作を制御するためのソフトウェア開発も、ロボット設計技術者の大切な役割です。
ロボット設計技術者の仕事内容
ロボット設計技術者の仕事は幅広く、やりがいを感じるエンジニアは多いです。具体的には、ロボット自体の設計から、動作のプログラミング、ロボットが期待する動作を行うためのセンサー開発まで行います。
また、ロボットは種類が豊富です。例えば、自動車の組み立て用ロボットや果実収穫ロボットなど、様々な分野で活躍しています。
コミュニケーションを目的としたロボットやペットとして交流できる愛玩ペットなど、一般家庭での需要も高まっています。
社会の需要や課題を常にリサーチすることも、ロボット設計技術者の重要な仕事の一つです。
ロボット設計技術者のやりがい
ロボット設計技術者は、予期せぬトラブルに見舞われることも少なくありません。綿密にスケジュールを立てて開発を進めていたとしても、エラーや故障のために徹夜作業になることもあります。
しかし、ロボット設計技術者の多くは、やりがいを感じて業務を行っています。ロボット設計技術者の仕事は、単にロボット設計を行うだけではありません。開発したロボットを量産して販売する際に、お客様から直接製品の感想をもらえることがやりがいにつながることもあります。
TwitterやInstagramなどSNSで、自分が設計したロボットが世の中で活躍している様子を見て、喜びを感じるロボット設計技術者は多いです。
ロボット設計の流れ
企画、テスト
まず、ロボットの用途や規格を定めるところからロボット設計技術者の仕事がスタートします。
現場の課題やロボットを導入する目的を話し合い、ロボットの活用により課題をどう解決できるのか計画します。
ここでは、現場が抱えている課題を解決する手段を見出す必要があるため、コミュニケーション能力が重要です。
設計、製造
ロボット設計技術者の多くは、センサー・制御・駆動といった専門分野を持っています。ロボットの設計・製造工程では、それぞれの専門分野に分かれて作業しながら、定期的に開発状況を共有します。
ロボットの見た目だけでなく、どの部分がどのように動くかなど、駆動の設計も行います。温度検知や接触感知を行うセンサー設計も、ロボットの基礎を作るうえでとても重要な分野です。
また、製造するロボットの種類により、人間工学・医療・農業などの知識も必要です。設計や製造以外にも、常に新しい知識を取り入れようとする姿勢も忘れてはいけません。
試運転
課題を解決するための動きの実現を目指し、何度も実験、検証を行っていきます。ロボットが想定通りの動作を行うか検証するため、様々な環境や状況で実験を繰り返して、完成に近づけていきます。
さらに、ロボットの完成後も定期的なメンテナンスが必要です。ロボット設計技術者は、ロボットにトラブル発生の兆候がないかをチェックします。
ロボット設計技術者におすすめの資格
情報処理技術者試験
基礎的な知識を問われる『情報処理技術者試験』は、ロボット設計に携わるエンジニアには必須ともいえます。基本的なプログラミングの知識が問われる試験のため、ロボット設計に欠かせないプログラムの設計・開発における基礎知識を身につけられます。エンジニアでロボット設計技術者への転職を考えているなら、ぜひ資格取得しておきましょう。
CAD利用技術者試験
ロボットに限らず、設計を行う上でCADのスキルは重要です。特に、ロボットの設計図のほとんどは、3DCADを用いています。CAD利用技術者試験に向けて学習を進めると、CADを使用してコンピュータ上で設計図を作成し、様々な方向からロボットの形状を確認できるスキルが身に付きます。
ディジタル技術検定
ものづくりに必要なIT知識が問われる『ディジタル技術検定試験』は、ロボット設計技術者の受験者も多いです。ロボットの動作や、ロボットを制御するソフトウェアの設計・製造に役立つ知識を得られます。
4級・3級は比較的簡単で、学生が多く受験しています。2級はデジタル系の試験の中でも高難易度で、合格率も50%以下です。転職に活かすなら、2級以上の取得を目指しましょう。
ロボット設計技術者に必要な素質
技術に対する探究心
現場の状況・課題に合わせたロボットを開発するためには、常識に縛られないユニークな発想が不可欠です。ユニークな発想を生み出すには、常に物事を深掘りして見極め、新しい技術に対する探究心を持たなくてはなりません。
論理的な思考力
ロボット設計は、課題の解決を目指し、何度もテストを繰り返します。しかし、動きの順序性を試行錯誤しなければ、ロボットは望む動作をしてくれません。課題に合わせて、どのように現状を改善していくか道筋を示すため、論理的思考力は不可欠です。
語学力
ロボット開発は、海外のメーカーとの協力が必要です。海外の研究発表にもアンテナを張っておくと新しい技術を取り入れやすくなります。外国の研究者とのコミュニケーションや海外技術を導入するためにも、語学力の高いロボット設計技術者を目指しましょう。
グローバルに活躍できるロボット設計技術者に
産業分野におけるロボットの需要が高まっていることもあり、エンジニアからロボット設計技術者に転職する人は多いです。ロボット設計技術者に興味を持っているなら、ぜひ今回の記事でご紹介した素質と自分の現状を比較し、必要なら資格取得を目指しましょう。
AGRISTでは、農家の方の協力のもと、人工知能搭載ロボットの開発を行っています。農業分野におけるロボット開発に興味のある人は、ぜひAGRISTのロボット設計技術者として活躍しませんか。