2025年7月、シンガポールで開催された世界最大級のAIカンファレンスに、私たちAGRISTは登壇しました。
その名も、「Brainstorm AI Singapore」。Google、OpenAI、マイクロソフト、米国政府、シンガポール政府、アクセンチュア──世界の「AI×産業」の最前線を担うキーパーソンたちが集い、次世代のAI活用のリアルを共有する場です。
このたび、AGRIST代表・齋藤潤一が登壇したセッションの内容を中心に、**「AI×農業×サステナビリティ」**の未来を紐解くオンライン報告会を開催します。
AI×農業は「種」がすべてか?——Brainstorm AI Singapore 報告対談
リード:米経済誌 Fortune 主催「Brainstorm AI Singapore」にAGRISTの齋藤潤一が登壇。会場で交わされた議論、クローズドの朝食会で語られた本音、そして現場から見えた“AI×農業”の次の一手を、進行の秦裕貴とともに振り返る。
10秒要点チェック
- AIは前提、次は“どう使って何を変えるか”:現地の議論は技術論の先、実装と事業設計へ。
- スマイルカーブの上流にある「種(品種)」がボトルネック:データの最終フィードバック先は品種設計。ここを握る重要性が浮き彫りに。
- リアルで会う価値が再評価:AIが均質化する世界で、クローズドな対話・信頼・スピードが差になる。
出演:齋藤潤一(AGRIST 代表取締役CEO)/秦裕貴(AGRIST・進行)
秦:皆さんこんにちは。今回は、齋藤が参加した米 Fortune 主催のAIカンファレンス「Brainstorm AI Singapore」の報告会です。世界のトップ企業が何を語っていたのかを共有します。進行はAGRISTの秦です。
齋藤:AGRIST代表の齋藤です。シリコンバレーでの勤務を経て、震災を機にまちづくりに携わり、農業課題の解決を目的にAGRISTを創業しました。
秦:カンファレンスの全体像を教えてください。
齋藤:世界中のAIリーダーが集まり、「これからAIをどう使い、何を変えるか」を議論しました。OpenAI、Google、Microsoftなどの幹部も参加。ステージより、クローズドの朝食会や食事会での議論が深かったです。
秦:Fortune とは?
齋藤:米国の有力経済誌で、「Fortune 500」など世界ランキングでも知られています。実は登壇依頼はAGRISTのお問い合わせフォーム経由で届き、最初は広告の勧誘かと疑ったほどでしたが、選考の末に登壇が決まりました。
秦:登壇セッションの内容は?
齋藤:「食の未来を再発明する」。シンジェンタ・グループ、マレーシアのAgrozと一緒に、農業のデータ化と安全・安心な食の実現を議論しました。
秦:各社の違いは?
齋藤:上流(種子・農薬)/中流(生産)/下流(流通・ブランド)でアプローチが異なります。収益性はスマイルカーブの“端”に寄る。そこで痛感したのが**「種をやらないと始まらない」**という点。データの最終フィードバック先は品種設計で、ここを握る重要性が大きい。
秦:AIの導入は?
齋藤:無理に入れません。自ら営農し、誰でも使える導線で現場に浸透させる。結果として自動化・最適化が進む形を狙います。
秦:日本の可能性は?
齋藤:伸びしろがあります。農地の世代交代が進み、若手や個人にとって規模拡大の機会が広がる。知識はスマホで得られるので、行動できる人には追い風です。
秦:哲学的・倫理的な議論は?
齋藤:公開の場では深掘りしにくいテーマも、クローズドの対話で議論されました。AIが創発まで支援するほど進化する一方、会って話す、信頼を築く価値はむしろ高まっています。
秦:まとめと告知をお願いします。
齋藤:AIは手段で、主語は現場です。ボトルネックは「種」。そしてリアルな対面の創発が差になります。一次産業に特化したカンファレンスを10月31日に開催予定。ぜひ会場で議論しましょう。