農業現場との共創でスマート農業の未来を切り拓く開発ロードマップを提示
持続可能な農業の実現を目指し、AI搭載型自動収穫ロボットによるスマート農業を推進するAGRIST株式会社(本社:宮崎県新富町、以下「AGRIST」)は、宮崎市との共同事業「きゅうり収穫ロボット導入モデル構築事業」における令和6年作の実証結果報告会を開催しました。本事業は、キュウリ収穫ロボットの土耕圃場への導入可能性と課題を特定し、将来的な普及に向けた実践的な知見を得ることを目的としています。今回の実証実験を通して、ロボットが持つ技術的ポテンシャルと、今後の開発で克服すべき具体的な課題が明らかになりました。
プロジェクトの背景と主な成果
農業分野における労働力不足が深刻化する中、AGRISTは収穫ロボットの開発と実用化を通じて、持続可能な農業の実現を目指しています。本事業は、実際の栽培環境下でのロボット導入における具体的な課題を特定し、その解決策を導き出すことを目的としています。
実証実験開始当初、当社のキュウリ収穫ロボットは土耕圃場での収穫率が55%という高いポテンシャルを示しました。これは、初期モデルと比較して短期間で大幅に改善しており、ロボットの自動収穫能力と技術的な潜在性を示すものです。
また、作物の成長に伴い葉が繁茂すると、キュウリの視認性と収穫率が低下することが明らかになりました。この課題は、実用化に向けたロボット改良において最も重要な開発指針となります。
また、今回の実証実験では、土耕圃場においてロボット稼働に必要な通路幅やハウス内の高さなど、具体的な圃場条件も明確になりました。さらに、レール設置や資材の搬入・撤去にかかる工数など、ロボットの導入から運用までの知見が得られました。これらの知見は、将来的なロボットの円滑な導入と普及に大きく貢献するものです。
実用化に向けた開発ロードマップ
今回の実証事業で得られた知見を活かし、AGRISTは以下の改良を加速させ、ロボットの実用化と普及に貢献します。
- 2025年1月頃実装:現行モデルの改良①
SNSアプリを利用した通知機能の強化、アームの動作改善、ハサミのエラー低減に取り組みました。 - 2025年10月以降:現行モデルの改良②
作物の認識ルールを変更し、アプローチ数を強化。アーム動作などをさらに改善します。 - 2025年10月以降:次期モデルへの応用
2025年10月末リリース予定の次期モデルへ、これらの改良を採り入れます。本実証では引き続き現行モデルを使用します。
特に、葉の繁茂による視認性低下対応は、最優先課題として、優先的に取り組んでおります。
AGRISTは、今回の宮崎市における実証事業で得られた知見をもとに、農業現場の収穫作業における課題解決に貢献し、持続可能な農業の実現を目指してまいります。
【地上走行式収穫ロボットの概要】
重さ:60kg
大きさ:L1306mm x W680mm x H1510mm
連続稼働時間:10時間(畝間移動は手動)
収穫能力:きゅうり 0.3本/分
その他の機能:収穫サイズ設定、スマートフォン通知、過負荷検知による安全停止機能
(ロボット搬入時の様子)
(実証圃場の様子)
(実証報告会の様子)