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農業の現状と将来性について

2023年06月26日 2023年

農業の現状と将来性について

2009年の農地法の改正により、「農地の権利取得」「農地の貸借」「農業生産法人要件」の3点が抜本的に見直されました。

農地の賃借や取得が容易になり、ビジネスチャンスとして捉えている企業が増え、農業に参入する法人が年々増えています。

今回は変革が著しい農業の現状と将来性について解説します。

農業の現状

アイキャッチ画像

農業従事者の減少

農業従事者の変遷(農林業センサスより引用)

引用:農林水産省 農林業センサス

農林水産省農林業センサスの調査によると令和2年度の農業従事者は136万人となっており、前回調査の平成27年から40万人近く減少しています。

さらに令和2年の農業従事者136万人の内、70%近くを65歳以上の高齢者が占めており、今後更に離農者が増えることが危惧されています。

また、1950年代には1500万人以上の農業従事者がおり、ピーク時から1/10以下になっています。

しかしながら、農業従事者の減少を機械化や生産性の向上でカバーできている側面もあり、そこまで悲観する必要性は無いとの指摘もあります。

ビジネスチャンスに変えようとしている企業や個人が多く存在しているのも事実です。

企業の農業参入の増加

農業参入法人の推移

引用:農林水産省 企業等の農業参入について

冒頭でも触れましたが2009年の農地法の改正により、企業の農業参入のハードルが下がりました。農地の賃借や権利取得が緩和され、耕作放棄地や遊休地を効率的に活用することが推し進められています。

また、農業は他の産業と比べデジタル化や効率化の余地が残っており、ビジネスチャンスが大きいのも企業が農業に参入する理由となっています。

既存事業とのシナジーも期待されており、これからも企業の農業参入が増えると考えられています。

スマート農業で生産性の向上

現在テクノロジーの力を使ったスマート農業が行われています。

今までは、農家の経験や勘に頼った営農が主流でしたが、データや機械を使用し、均一的で、効率的な営農が可能となりました。(スマート農業化

データを使った営農や収穫ロボットによる収穫作業が実際に行われています。

データを使った農業の事例
収穫ロボットの様子

大規模化

農家一戸あたりの面積の図

引用:農林水産省 企業等の農業参入について

農家1戸あたりの耕作面積は年々上昇しています。離農する人の農地を引き継いだり、農地法の改正により規模を拡大しているのが実情です。

農地を集約してより生産性の高い農業が既に始まっています。

持続可能性の提唱

SDGsが世界的に浸透していますが、農業分野にはG.A.P.(ギャップ)と呼ばれる独自の基準が存在しています。

G.A.P.(ギャップ) とは、GOOD(適正な)、AGRICULTURAL(農業の)、PRACTICES(実践)のことで、G.G.A.P.(グローバルギャップ)は世界120カ国以上で実践されている国際基準となっています。

GLOBALG.A.P.認証は、食品安全、労働環境、環境保全に配慮した「持続的な生産活動」を実践する企業に与えられ、ブランド化しています。

既にイオングループでは、

農産物においては、2020年目標として、プライベートブランド商品ではグローバルGAPをはじめとする、世界食品安全イニシアチブ(GFSI※)ベースのGAP(適正農業規範)管理100%の実施をめざすことを掲げています。

イオン農場と提携農家がめざす高度な安全性

G.A.Pの取引がスタンダードになっています。

環境問題解決はもちろんですが、取引先の信頼性向上、レピュテーションリスクの低減に寄与すると考えられており、農業でも持続可能性視野に入れた営農が盛んに行われています。

農業の将来について

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離農者が増える

農業従事者の推移(平成27年~令和2年の年齢別割合)

引用:農林水産省 農林業センサス

農業従事者の平均年齢は68歳となっており、そう遠くない将来、農業従事者が半減することが危惧されています。

実際に平成27年から令和2年の5年間で40万人以上が離農している状況です。

しかしながら、そこまで悲観する必要は無いという意見もあります。

久松農園の久松達央氏の著書「農家はもっと減っていい」によると、

1950年代から農業従事者は1/10になっているが、農業機械の発達により生産性は10倍以上になっている。農業従事者の人数が減るのは当然だ。

という意見が書かれてあり、非常に興味深い内容になっています。

大規模化と二極化が進む

経営的に余力のある農業法人や企業は農地を拡大していますが、この流れは益々加速します。

農業においては、スケールメリットの恩恵を受けやすく、大規模化を進めれば進めるほど儲かるようになります。

投資余力のある農業法人や企業はますます規模を拡大し、大規模な営農を進めていくでしょう。

一方で小規模農家は、資金やリソース不足により、投資や技術導入が難しくなり大規模農家と差をつけられることになります。

小売の視点で考えてみても、消費者に安定供給するために小規模農家ではなく大規模農家と取引を行う傾向にあります。

資本主義の原理原則と考えれば当たり前ですが、大規模化と二極化は避けられない状態となっています。

その為、小規模農家は自分たちの戦い方を見極め資本競争の外で活路を見出す必要性があります。

これからの農業で必要な事

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スマート農業化

これからの農業では、スマート農業化が必要になります。

農業の生産性と効率性を高め、人手不足への対応、収入の安定化のためにも、デジタル技術の活用が欠かせません。

逆に従来の人海戦術的な農業を続けることは困難で、先細っていくことが予想されます。

付加価値を付ける

消費者ニーズが多様化し、手軽に食べることができる冷凍野菜、ブランド化している農作物、有機野菜などの台頭により、市場競争が激化しており、いわゆる“今までの普通の野菜”が売れにくくなっています。

また、ふるさと納税の返礼品の普及により、近所のスーパーで買うよりも産地直送で美味しいモノを選ぶ消費者も現れました。

農作物の差別化が必要になり、消費者ニーズに対応することが必要です。

美味しさ、希少性、G.A.P.などの差別化を図り、市場競争に耐え得る農作物の栽培が求められます。

グローバルでの戦い

アメリカや中国といった広大な土地を持っている国とは違い、日本の場合は限られた国土で農業をせざるを得ません。

収量や大規模化では負けてしまうので、戦い方を考える必要性があります。

近年、神戸牛やシャインマスカット、サツマイモが海外で高く評価されており、日本の国土に合った栽培方法で海外に高く買ってもらうような取り組みが行われています。

日本ではこのような付加価値を付け少量でも高く売れるような取り組みが必要不可欠です。

マクロで考えてみても、シュリンクしていく日本のマーケットで生き残ることは難しく、人口が増加している海外を視野に入れた営農が勝ち筋の一つになります。

まとめ

農業従事者はピーク時の1/10にまで減少しており、直近5年でも40万人が離農し、農業従事者の総数は130万人まで減少しています。

しかしながら農地法の改正により、農地の賃借や取得が緩和され、ビジネスチャンスと捉えた企業の参入が増えています。

また、農業分野においてもデジタル技術の活用が増え、生産性の向上がなされています。

これからの農業は、大規模化、スマート農業化が進み、更に生産的な営農が行われると予想されています。

実際に日本のマーケットは縮小傾向にありますが、マクロで考えると世界の人口は増え続け、食のマーケットも広がっていくからです。

そういった意味では、農業の未来は明るいと考えることができます。

また、生産物に高い付加価値付けて販売し「儲かる農業」を実現することによって、競争力を保ち世界で戦える営農に傾倒していくと考えられています。

AGRISTでは、農業参入を検討している企業向けのコンサルティングや、収穫ロボットを使用した次世代農業の提案を行っております。

お気軽にお問い合わせください。

written by Shinya Oda

     

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