『農業DX構想』とは2021年に農林水産省が発表した食と農の未来を切り拓くための考えをまとめたものです。
高齢化や労働力不足が進む中、
- 新技術の導入による省力化・効率化
- 消費者(市場)に評価される価値を生み出し提供する
『農業DX構想』の中では上記の重要性を説いています。
そもそもDXとは、Digital(デジタル)Transformation(トランスフォーメーション)の略のことで、”デジタルによる変容“の意味です。(英語圏ではtrans-をXと略して使うことから、DXと呼ばれます。)
DXを簡潔に説明すると、 “IT化を通じて業務革新を行い従来よりも効率的に事業を行い利益を出す”ということです。
農業の以外の様々な分野でもDXの必要性があると言われており、経済産業省が2018年9月に公表したDXレポートの中で、2025年までにDXが実現できない場合、最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると警鐘を鳴らしています。(2025年の崖問題)
実際に、金融(Fin Tech)、教育(Ed Tech)、宇宙(Space Tech)など様々な領域でDX化が進んでいます。
今回は農業ベンチャーであるアグリストが『農業DX』について解説し、なぜ『農業DX』が必要なのか記載します。
農業DX構想の目的と概要
農業DXの目的
農林水産省は農業DXの目的を、
本計画(2020 年(令和2年)3月閣議決定)では、「デジタル技術を活用したデータ駆動型の農
業経営により、消費者の需要に的確に対応した価値を創造・提供できる農業」(FaaS(Farming
as a Service))と呼ぶこととし、その実現が農業 DX の目的であるとした。
引用:農業DX構想
上記のように定義しています。
FaaSとはFarming as a Serviceのことで、デジタル技術を活用して効率の高い営農を実施し、且つ消費者ニーズに応え価値ある商品を届ける農業のことです。
農業DXは単なるデジタル化だけでなく、農作物の需給バランスを意識した営農や、ブランディングによる新たな価値の提供が必要となり、いわゆる市場化に対応することの重要性を説いています。
人々が必要とする食料を安定的に供給し農業が持続性を確保しながらこの役割を果たすには、
- デジタル技術の活用による生産性の高い営農
- 消費者の需要をデータで捉え農作物を提供
この2つを達成することが重要で農業DXの最大の目的となっています。
農業DXの概要
- 労働力不足への対応
- 生産性向上・効率化・省力化
- 付加価値の高い商品の提供・ブランディング
上記3つが農業DXの概要になります。
既存業務の一新、サプライチェーンの再構築が必要不可欠と言われており、それを手助けする技術を官・民で提供することを目指しています。
農業DXが必要な理由
高齢化による労働不足の解消
現在の日本の農業従事者の平均年齢は67歳と言われており、高齢化が最も進んでいる産業の一つです。
農業従事者の減少が顕著で、平成27年の農業従事者は約175万人でしたが、令和3年では約130万人に減少しています。
この7年間で45万人(25%以上)が離農した計算になります。
一方で平成27年から令和2年の間に新規就農した人は約34万人でした。
新規就農者の内訳をみてみると、49歳以下は12万人で全体の約35%程で、新規就農者の約65%以上が50歳以上となっており、新規就農者の高齢化も問題になっています。(参照:農林水産省 農業労働力に関する統計)
高齢化による労働力不足解消のためにも『農業DX』が必要不可欠です。
テクノロジーを活用し効率化・省力化が必要
テクノロジーを活用し営農すると、栽培データの取得が可能になります。
データを取得すると作物の状況が可視化され、作物の最適な栽培方法がわかるようになります。
既存のやり方にとらわれることなく効率的に営農することができるようになります。
伝統的な栽培方法の見直し、新しい栽培方法の発見など、農業のアップデートには『農業DX』が不可欠です。
農業が市場化することへの対応
農林水産省の『農業DX構想』の中には、
農業や食関連産業に携わる方々がそれぞれの立場で思い描く「消費者ニーズを起点にしながら、デジタル技術で様々な矛盾を克服して価値を届けられる農業」
ex. 小人数でも超効率的な大規模生産を実現、多様な消費者ニーズに機動的に対応した食料を生産・供給、高齢者・新規就農者でも高品質・安定生産を実現、条件不利地でも適地適作で高付加価値農産物を生産・販売
引用:農林水産省「農業DX構想」の概要
上記の記載があります。
今までのように農作物を作って販売するだけでなく、これからは高付加価値農産物の生産・販売が重要です。
消費者ニーズを知るため、農作物に付加価値を付けるためにも『農業DX』が必要不可欠です。
市場の需給バランスを見ながらマーケット感覚を用いての営農が求められています。
農業DXのメリット・デメリット
農業DXについてのメリット・デメリットをご紹介します。
農業DXのメリット
農業DXについてのメリットとしては、
- オペレーションの改善・省力化
- 収量・収益性の向上
- 新規参入し易くなる
上記が農業DXのメリットとして考えられます。
今までの農業では、経験や勘が必要になり技術の俗人化が問題でしたが、デジタル化によりこれらの問題は解消されます。
また、オペレーションの最適化、収量予測などの取り組みにより、収益性の向上が見込めます。
儲かることが証明されれば新規参入する企業や人が増え、産業が活性化することが期待できます。
農業DXのデメリット
農業DXのデメリットとしては、
- 導入コストが高い
- 知識習得の難易度が高い
- 互換性のない商品が多い
上記が農業DXのデメリットとして考えられます。
テクノロジーの導入はコストがかかり、それらのサービスや機材を使いこなすのにもコストがかかってしまいます。
更に、メーカーごとに独自のサービスを提供しているので、互換性の無い商品も世の中には溢れています。
自分たちの営農にどんな商品が必要なのか、取捨選択する必要性があります。
アグリストの農業DXの取り組み
アグリストではピーマンの自動収穫ロボットを開発しています。
『100年先も続く持続可能な農業を実現する』をコーポレートビジョンとして掲げ、儲かる農業を実現すべく安価でシンプルなロボットの開発を行っています。
またアグリストファームという子会社の農業法人を設立し、新規事業で農業に参入する企業様のサポートも行っております。
- 農業DXを実現したい
- 儲かる農業を模索している
- 新規事業で農業に参入したい
このようなお悩みのサポートを行っております。
アグリストの自動収穫ロボットの技術や農場を利用した協業をお考えの企業様のお問い合わせもお待ちしております。
お問い合わせはこちらよりお願いします。