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農業の未来が変わるスマート農業とは? 導入事例やメリット・デメリットも紹介

2021年07月18日 スマート農業

農業の未来が変わるスマート農業とは? 導入事例やメリット・デメリットも紹介

ロボット技術や人工知能・ICT・センシング技術・画像解析技術などを複合的に用いて、効率的で生産的な農業を目指すスマート農業とはどのようなものでしょうか。

スマート農業を導入することで、農業はどのように変わるのか、スマート農業が目的とする意図や、必要となってくる技術などを解説します。
スマート農業の導入によるメリットやデメリットも把握して、スマート農業を単なる「目的」で終わらせずに「手段」にするために、乗り越えるべき課題についても考えてみましょう。

農業に革命をもたらす起爆剤であるスマート農業に必要とされる技術やスキルとのマッチングもあわせて紹介します。

スマート農業とは?

スマートフォンが従来の携帯電話に対して高性能で高機能な携帯電話を指すように、農業にスマートがつくということは、どのような状況を指すのでしょうか。スマート農業とはどのようなものか確認しましょう。

ロボット技術やICTを活用する農業

ロボット技術や情報通信技術、画像処理技術、リモートセンシングなどを活用するものがスマート農業です。農業が抱えるさまざまな課題を解決するための、ある意味概念のような存在であり、省力化・精密化、高品質生産を可能にすることを目指します。

スマート農業に必要な技術

農業をスマート化するために、農業における作業ごとに必要とされている技術について確認しましょう。

  • 耕起と整地……自動走行式トラクターの無人操縦技術、ICTに基づいた農業用建機
  • 移植と播種(はしゅ)……乗用タイプの全自動移植機、ドローンによる播種(種まき)
  • 栽培管理……リモコン式による自動草刈機、自動走行式のスプレーヤー、害獣用の自動捕獲檻
  • 施肥……ドローンによるリモートセンシング、ドローンによる施肥
  • 収穫……自動収穫ロボット、収穫した野菜の自動運搬車
  • 経営管理……農業用の経営管理システム

スマート農業の目的

スマート農業の目的は大きく分けて3つがあります。

1つ目は、従来から作業量の多さと重労働が当然とされてきた農作業を、省力化・労力軽減することです。

2つ目は、ヒトからヒトへ勘や経験に頼っていたスキルやノウハウの継承を、システム的に完成させること。

3つ目が、食料自給率の向上を目指すために、少ない人員でも収穫量を高めるための対策としての側面です。

スマート農業の事例

スマート農業を実現するために必要とされるロボット技術、AI・ビッグデータ解析技術、画像認識、センサー技術が活用された機器やシステムについて紹介します。

01:無人トラクター・コンバイン・田植機

大手農機具メーカーでは、トラクター・コンバイン・田植機などにおいて自動運転可能な機種の販売を開始しました。

従来は移動基地局を設置しなければなりませんでしたが、単独での自動運転が可能となり、導入のネックとなっていた部分は改善されました。

ただし、どの機種も1,000万円を超える高価格帯であることなどから、共同購入や助成金の活用などが必要となってくるでしょう。

02:農業用ドローン

航空撮影を中心に一般化しているドローンを使った農作業です。

最も普及しているのは農薬の散布で、センシング技術と組み合わせることで、病虫害の発生状況を把握しながら散布できる技術も開発されています。

それ以外にも、山間部などの作業性が悪い場所での播種や、圃場を撮影し画像分析するためのリモートセンシングなどにも活用されています。

03:自動収穫機

主に野菜の収穫を自動化するロボットがあります。

自走式、ドローン式、そして吊り下げ式がすでに実用化されています。

中でも弊社ののAI搭載型の自動収穫ロボットは、地面を自走するタイプでは事前の圃場の改良が必要(圃場は平らでないことや機械や装置が邪魔になることが多いため)であったり、ロボットアーム式のロボットでは高価格になったりするのではないか、という農家の声から生まれた収穫ロボット。

AIを活用しており、収穫量の20%の改善と人件費の50%の削減を目指し、低価格で提供しています。

04:自動選別機

収穫した農作物の出荷に欠かせない自動選別機は、色彩方式・真空吸引方式・静電方式などさまざまな方法で多様な農作物の選別が可能です。

現在では、AIを組み合わせることで画像処理の精度を高めたり、内部品質センサーを導入することで糖度や酸度、内部破損の有無などを検知したりする選別機が登場しています。

05:栽培管理支援システム

気象データと作物の生育予測モデルや病害予測モデルを利用して、農業気象災害を軽減するために農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)が開発したもの。

早期警戒情報と作物の栽培管理に役立つ情報によって農業従事者の意識決定を支えるシステムです。

06:リモートセンシング

圃場内に温度・湿度・照度などのデータを取得できるセンサーを設置して、遠隔でチェックしたり、クラウドと連携してAIに取り込みロボットに反映させたりするための技術です。

ドローンを使った方法もあります。

スマート農業のメリット・デメリット

スマート農業は国をあげて導入を推進していますが、普及が進んでいないのが現実です。

スマート農業を導入することで農業が抱える課題を解決できるとするメリットと、導入を妨げていると思われるデメリットについて紹介しましょう。

メリット

スマート農業を取り入れるメリットは、農作業の見える化・農業技術の継承・業務改善・効率化・省力化です。

従来の農業で課題となっている農作業の全体像が見えにくい問題や、勘や経験に頼っていたスキルやノウハウをシステムとして継承することが可能になります。
業務が改善され、効率化・省力化することで、収益アップにも貢献。実際にスマート農業技術を検証するプロジェクトにおいて、従来の方法と比較して農薬散布ではドローン散布にすることで81%の時間短縮を実現しています(出典:農林水産省「スマート農業の展開について」 実証成果の中間報告)。

デメリット

スマート農業の導入をするうえでの障壁となるデメリットは、導入コストが高いことや、機器間の互換性が統一されておらず拡張性が低いこと、スマート農業を活用するための人材の確保が難しいことなどが挙げられます。
「スマート農業実証プロジェクト」の参加者のコメントによると「ロボットトラクタや自動運転コンバインについて、外周は手動で作業しなければならず、不定形で狭小な圃場の多い経営体では、利用圃場が限定される」「一部の地域では、スマートフォンによるGPS位置制御が不安定になる場合があり、情報通信基盤の整備が、スマート農業が隅々まで普及する際の課題になりうる」(出典:農林水産省「スマート農業の展開について」 プロジェクト参加者の声)などの意見があることも事実です。

スマート農業が持続可能な農業を実現

スマート農業とは、ICT・AI・ロボティクス・センシング技術・画像解析技術など、さまざまな技術を複合的に利用することで実現するソリューションです。

スマート農業導入の障壁となっているコストや機器間の互換、人員の確保などの問題をいかに取り除いていくかが、今後の普及の鍵を握っているといっても過言ではないでしょう。
この記事を読んでいる皆さんがお持ちの技術やスキル、研究成果などは、全く農業と関係ないと思いがちかもしれません。

しかし上記で挙げている事例のように、そのまま農業に運用可能なモノばかりです。農業の未来を一緒に切り開いてみませんか?

     

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